※アンケリク作品
『心配することしか私にはできない』
タンルシです。
「じゃあ行って来る、ルシッドメリー」
「うん、気を付けてね。タンディウォナーゼ様‥」
そう言って
力無く手を振って夫である此の人を見送ったのはコレで何度目だろうか。
と、ぼんやりした頭で夫の背中を見送ったルシッドメリーは考えていた。
彼女、ルシッドメリーは今は亡き皇竜族の長ザハードの唯一人の孫娘である。
そんな彼女が邪竜族の長であるタンディウォナーゼの元に嫁いだのはもう何百年も前の話しになるのだが―――
「…どうした??ルー」
「‥‥………」
戦が始まる。
其の度に、愛しい夫が戦場に借り出されるのを彼女は黙って見送る事しか出来なくて。
此の世でたった一人、生き残った皇竜族の末裔として生きる事を強いられた彼女にとって
夫である男の存在は彼女の中で大きなウエイトを占めていた。
言うなればそう、生きる理由其の物と言っても過言では無い。
其れ程までに夫タンディウォナーゼを愛し、彼の為ならば命さえも惜しくは無いと考えていたルシッドメリーにとって夫の遠征は気が気でなく
酷い時は心配で心配で、夜も眠れない日が続く事もあった。
そして
本音を言えば行かないで欲しい。ずっと傍に居て欲しいと思っていたので。
気を抜けば、己の願いをうっかり声に出してしまいそうな自分が怖くて仕方なかった。
其れでも
「うぅん、なんでもないよ」
「……‥‥‥」
「だからナーゼは気にしないで。ルーは大丈夫だから」
愛する夫を困らせてはいけない。
そう、必死で自分に言い聞かせ自制していたルシッドメリーは泣きたいのを堪えて無理に笑ってみせた。
だが、次の瞬間―――
「あ」
「!!」
不意に涙が零れて
泣くつもりなど無かった筈なのに、自然と涙が頬を伝ってホロホロと流れ落ちていった途端
「あれ、どうし―――え‥…?!」
「ルシッドメリー!!」
急に夫の腕が伸びて来たかと思うと、そのままギュウッとキツクキツク抱き締められてしまったのだ。
「ナ、ナーゼッ///」
強い抱擁。
そのまま抱き締め殺されてしまうのでは無いか??と不安になるくらい、タンディウォナーゼが力を篭めて抱き締めて来る。
其れが嬉しくて。
ずっとこうして居たいなぁ。なんて思っていると―――
「すまない。泣かせてしまったな」
「べ、別にナーゼのせいじゃ…」
「いや、私のせいだろう??ルーには寂しい思いばかりさせてしまって‥これじゃあ夫失格だな」
「そんなっ……!!」
困ったような顔をして、落ち込むタンディウォナーゼの姿が目に映ったから。
どうして泣いてしまったんだろうか。と今更ながらに悔やんだルシッドメリーは必死にフォローしたのだ。
「違うよ、ナーゼのせいじゃないよ!!ルーが…ルーが悪いんだよ!!ルーが我が侭だから‥ナーゼともっと一緒に居たいって、ナーゼに行かないで欲しいって思ったルーがいけないの!!だから自分を責めないで……??」
と。
そんな、何処までも健気でいじらしいルシッドメリーが愛しくて愛しくて堪らなかったタンディウォナーゼは
「―――そうだったのか」
などとしみじみ呟いては、不謹慎だと分かっていても口元を緩ませこんな事を言い出したのだ。
「嬉しいぞ、ルー」
「え…‥‥??」
「君の我が侭に答える事は出来ないかもしれないが‥ルーの本音が聞けて私は嬉しいよ」
「ッ///」
自分より一回りも小さな其の手を取るタンディウォナーゼ。
そして手の甲に口付け、じっと愛する妻を見詰めたかと思うと
「だが、一日くらいなら不死王も許してくれるだろう」
「ナーゼ‥‥…??」
ひょい、と軽々妻である女を抱き上げ
寝室へと連れて行ってしまったのだ。
ドサッ
「きゃっ………!!」
ベッドの上に放り出される様に下ろされる。
普段は主人に似て無駄に紳士的な癖に、珍しく乱暴なタンディウォナーゼの振る舞い。
其れにドキドキする暇も無く
「其れに…愛する女の涙を見て放置出来る程私は薄情では無いのでな」
「あ、な‥なにす‥…んんんっ///」
唇を塞がれ、組み敷かれてしまったのだ。
「ん、ふ…っ///」
彼の長い舌に自分の舌が絡め取られる。
其のせいで柔らかな感触がダイレクトに神経を犯し、頭がぼうっとして来たのだが―――
「んぁ、…だ、だめ。やめて、ナーゼ‥っ///」
「‥‥…何故だ??」
「だ、だってぇ///」
このままじゃ意地悪ハーヴェストにナーゼが怒られちゃう!!
と、心配になった彼女は必死に夫の愛撫に逆らった。
しかし、其れがタンディウォナーゼの劣情を煽る結果となり。
「私が欲しくないのか??ルシッドメリー」
「あっ///」
彼は既に硬く張り詰め、痛い位勃起した其れを妻である女に無理矢理握らせてやったのだ。
ギュッと。
「……ルーのせいでこんなになってしまった。勿論、責任は取ってくれるんだろう??」
「そ、そんなぁっ///」
トロリ。
先端から先走りが滲み出てルシッドメリーの手を汚す。
滑った其れは亀頭を濡らし、逞しい肉棒がテカテカと光る様は何だか厭らしくも見えた。
其れだけでもルシッドメリーの性欲は十分煽られた筈だった。
なのに
「舐めてくれ」
「ッ///」
我慢出来ないのか
ハァ。と悩ましい吐息を漏らしたタンディウォナーゼがぐいぐいと彼女の小さな口に其れを押し付けて来るから。
むわん、と香る雄の臭いと
間近で見ると赤黒く、やたらグロテスクな色形にドキッとさせられる。
そして追い討ちを掛ける様に
「いいだろう??」
「ひゃんっ///」
耳朶を舐められ、小さな体に似つかわしい大きく育った胸を弄られれば―――
「あぁっ///な、何するの??ナーゼ、ったらぁ!!」
「好きだろう??こうやって乳首を苛められるのは」
「あふぅん!!そ、そんな…こと、な‥‥んはぁあああっ///」
後は簡単に堕ちるだけ、だった。
「いいぞ、ルー。そのまま‥全体を舌で満遍(まんべん)なく舐めてくれ」
「んんんっ、ん‥ふ、ぅっ///」
ペロペロと、夫の逸物を言われた通り丹念に舐めるルシッドメリー。
だが幼い彼女は性体験も少なくて
ましてや夫のモノをしゃぶるなんて初めての試みだったから。
「ふ、はぁっ///っ、けほけほ‥こほ!!」
「ッ、大丈夫か?!」
加減が分からず、思い切り喉奥まで咥え込んだ結果むせてしまったのだ。
気管が詰まったような不快感が一気に込み上げて来る。
其れが辛くて、でも―――
「だい、じょうぶ‥だよぉ」
「ルシッドメリー……」
「もっともっとしてあげるから。気持ち良くなって、ね??」
「ッ///」
愛する人の為に奉仕する。
其の事がどれだけ幸福でどれだけ満たされる行為なのか、ルシッドメリーは此の時初めて知る事が出来たのだ。
夫、タンディウォナーゼのお陰で。
「凄いね…ナーゼのおちん×んビクビクいってる‥‥///」
「く、っ…///」
血管の浮き出た、生々しい其の様子さえも愛おしくて。
チュ、と亀頭にキスを落とした後
自ら竿に手を伸ばし、躊躇せずレロレロと舌を這わせて奉仕に励む。
そんなルシッドメリーの何時に無く大胆で積極的で厭らしい行為にタンディウォナーゼも興奮してしまい。
「も、もう我慢出来ん!!」
「!!!!!」
彼はルシッドメリーの小さな小さな体をベッドの上に押し倒すと、切羽詰った様子でこんな事を言い出したのだ。
「ルー、愛してる」
と。
そしてルシッドメリーが答えるより先に体を抱き締め、キスを強請って来たので。
しょうがないなぁ。なんて思いながらも
「ルーもだよ、タンディウォナーゼ様///」
静かに目と閉じながら
愛する男の首に腕を絡ませ、更なる愛撫を求めてキスを交わすのだった。
※またしても中途半端エロで申し訳無い。
とりあえず此の後タンディウォナーゼはお約束でハーヴェストにねちねち嫌味を言われたらいい。
そんでもってタンディウォナーゼてめぇだけ良い思いしやがって。な展開になってしまったのが悔やまれる。
ま、苦労人の彼にもたまには良い思いをさせてあげるのも悪くないけど。