お題
□嫉妬混じりのお題
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今日は僕らしくもなく予定が入っておりそれは玖渚の元へ訪問するというものだった。
まあ別に必ず行き必ず決まった時間に行くというようなものではないけど。
用という用もないし。
やはり僕は僕で相変わらず予定なんてないのかもしれない。
しれないけれど、自分で決めていたことを破られるのはおもしろくない。
そのおもしろくないことを平気でするやつがいた。
人間失格の零崎人識である。
なんということだろう、やつは俺の家に突然、勝手に上がり込み僕に下らない会話を振ってきたのだ。
正直どうでもいい。
しかし、貴重な男友達でもあるため無下にあしらうのもなんなのでやめておいた。
結局、零崎が帰ってくれたのは夕方の19時頃だった。
「さて、どうしようか」
19時
微妙な時間である。
玖渚の元に行くのにはまだ大丈夫のような気もするし、遅すぎる気もする。
5分間ほど悩んだ末に、結局玖渚のマンションに訪問することにした。
交通手段は徒歩。
うん、健康的。
いつも通りに玖渚のマンションまで行き、玖渚を探す。
玖渚は意外とすぐに見つかった。
「うにー、いーちゃんやっほーぅ!!」
「ん、やっほーやっほー」
相変わらず高いテンションに形だけのテンションを返しておく。
「いーちゃん遅かったねー僕様ちゃん待ちくたびれちゃったよ!」
「あぁ、ごめん。ちょっと友人が部屋に長居しててさ」
「友人?本当に?」
玖渚は先ほどまでしていた作業をやめ、こちらを振り返った。
その顔は怒りを浮かべている。しかし、それは僕が恐れている蒼モードではなく、可愛らしく頬を膨らませており、どちらかというと拗ねているような表情だった。
「本当だよ。そもそも相手は男だ。な?友達以外のなんでもないだろ?」
「うに…、それはどうかな…」
「大丈夫だよ、浮気なんてしない」
戯言だけどね。
「うーん………わかった。そんなに言うのなら今回はいーちゃんを信じてあげるんだよ」
よかった。相手が零崎なのに浮気断定されたらたまったもんじゃない。
僕にそんな趣味はない。多分。
「でもね…?いーちゃん」
そう言って玖渚は不安気な表情を作り、僕の顔を覗きこんだ。
そして、内緒話をするかのように声を潜ませて言った。
『「友達」でも油断しないでね?』
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お題:「友達」でも油断しないで
まんまやん('A')