戯言/人間シリーズ
□子供みたいなやつ
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笑顔の素敵な殺人鬼
こんこん
と僕のアパートの扉がノックされた。
一体誰だろうか。僕のアパートへの訪問者はそう珍しくないがノックをする訪問者いうのは珍しい。常識人の人かそれとも哀川さんがまたノックな気分になったのか… などと考えながら僕は扉を開ける。
「どちら様で___」
「よっ!欠陥せ」
ばたんっ
「なんだ、気のせいか。誰もいないじゃないか」
さて、暇だし寝るか。
「っておいおいおいまてまてまて」
外から何か聞こえる。
次の瞬間扉が開けられた。
「いーたん!今のは酷かったんじゃねぇのか!?」
「ぐー」
相手するのも面倒臭いので狸寝入りを決め込む。
「なんだ、いーたん寝てんのか?」
無視。
「よし、寝てるのなら悪戯しよう」
何言ってんだ、この殺人鬼。
あれか、マジックペンで顔に落書きとかいう定番のやつをする気か。
「勿論性的な意味な悪戯をな!」
「やめろ!」
がばっと勢いよく体を起こす。
「なんだ、起きてたのかよ。……チッ」
「いや、君に舌打ちされる理由が全くわかんないんだけど。ていうかむしろ僕が舌打ちしたいくらいなんだけど」
「まぁまぁ、細かいこと気にしたら禿げっぞ」
「むしろお前が禿げろ」
「酷い!」
そう言って零崎はよよよ…とか言いながら泣き真似をした。
面倒くさいやつだ。
「まぁそんな泣くなよ」
「だっれ…いっ、たんがぁぁ」
なんか凄い泣いてた。
真似じゃなかったのかよ。
禿げろと言っただけなのに。意外と繊細なやつなのかもしれない。
「よしよしわるかったって」
ちーん、とティッシュで零崎の鼻をかんでやる。
まるで小さい子供の世話をしてるようだ。
「ずびびっ…かはは…いーたんがやさしー」
にへらっと赤い鼻で幸せそうに笑う零崎。
単純な奴だ。
しかしその単純さを不覚にも可愛いと思ってしまった。
「?どしたのいーたん。俺に惚れたか?」
「キモい勘違いすんな気持ち悪いから」
「二回も気持ち悪いと言われた!!まっらいっだんがぁあ゛ぁづべだびぃい゛ぃ゛」
「君ってそんな傷つきやすかったっけ?」
さっきからよく泣くな。
泣かしてるの僕だけど。
すると零崎は突然のそのそと無言で僕に抱き着いてきた。普段だったら殴ってるところだが、二度も泣かせた罪悪感もあってか、少し零崎に胸を貸した。