フリースタイラーの変遷

□脅威の侵略者編
150ページ/166ページ


リカちゃんの新必殺技の通天閣シュートも豪炎寺の爆熱ストームも、ジェネシスのキーパー、ネロのプロキオンネットに止められて、グランの流星ブレードに立向居のムゲン・ザ・ハンドが破られて先制点を奪われる。
その後、雷門が防戦一方になったところで、リカちゃんに代わってFWの枠に吹雪が入る。
だけど、エターナルブリザードは止められ、アイスグランドは破られ意気消沈する。
そんな中、代わりにボールを止めるのは塔子ちゃんと、木暮、綱海の3人の必殺技、パーフェクトタワー。
そして、繋いだボールをもう一度吹雪に託すと蹴り上げられたパスは、呆然と立ち尽くす彼の横を抜け、ラインの外へ出ていった。
ボールを取りにライン外へ出た豪炎寺は、そのボールを吹雪の腹に蹴りつける。
そこから豪炎寺の叱責で、気づき、立ち直った吹雪が、新必殺技ウルフレジェンドでネロのプロキオンネットを破り、同点へと追いつく。
それから、吹雪に触発されてか、先程は敗れたヒロトの流星ブレードに立向居はもう一度諦めずムゲン・ザ・ハンドで立ち向かい、今度はそれを止めて見せる。


教えた通りに試合が進んで、きっと研崎はご満悦だろうな。
なんて考えていれば、ドコン、と大きな爆発音と揺れが起こる。

恐らく、財前総理から連絡を受けた鬼瓦刑事が、エイリア石のエナジー供給装置を破壊した音だろう。
それも事前に研崎に伝えたが、我々が使っている分は、石自体を直接削り取ったものをネックレスとして装備するのだから装置破壊されてもなんの問題もないらしい。
あの装置はエイリア学園のユニフォームにエナジーを蓄積するためのものらしい。


「予定通り警察が来たようだな」

杉森の言葉にうん、と頷く。
研崎伝いにダークエンペラーズのみんなにも話がいっているようで慌てた様子もない。

『恐らくこの後、鬼瓦さんはエイリア学園の子供たちの保護に奔走するはず。ここが吉良にもバレていない研崎の隠れ研究所とはいえ、鬼瓦さんは結構目ざといしバレない保証はない……』

「なら、早めに出た方がいいな」

「研崎のやつもジェネシスが負けたらこの施設を丸ごと破壊するって言ってたし、その方がいいだろうね」

風丸の言葉に松野が同調するの聞いて、皆いそいそとコートを身にまとい始めた。

「水津」

『ん?』

何?と名を呼んできた風丸を見れば、彼は、皆が着ているコートと青と黒のぴっちりユニフォームを手渡してきた。

「風丸!まさか選手として入れる気なのかよ!」

声を荒らげたのは半田だった。
まあ、彼からの信頼は地に落ちているし、なにより、私が選手になるってことは、誰かの1枠奪うって事だ。反対されるのは当然だろう。

「せっかくエイリア石を手にしたのに使わないのは勿体ないだろう?まあ、着るか着ないかはお前に任せるけどな」

そう言って風丸は、ずいと私の方へ手に持ったユニフォームを押し出した。

「決められた事を守るためじゃなくて、自由なサッカー、してみたくないか?」

なあ?と風丸は不敵に笑うのだった。


悪魔の囁き





「似合ってるよ」

青と黒のぴっちりユニフォームを着た私にそう声を掛けできたのは影野だった。
影野に限っては悪気なく本心で褒めてそうだから困る。

『うーん、あんまり嬉しくはないね』

「あ、そうだよね……ごめん」

謝る影野を尻目に上からコートを羽織る。

『なに?』

じっと見つめてくる影野に対し首を傾げる。

「その、ちょっと嬉しかったんだ。水津さんと同じユニフォームを着て戦えるの、俺は久々だから……」

『……確かに、尾刈斗戦以来、か。まあ、同じって言ってもスタメンはみんなに譲るし、私は出番ないだろうけどね』

「おー、お前の出番なんか無いぜ。この力で俺たちが完膚なきまでに叩きのめすからな」

そう言って半田がビシッと指さしてくる。
その後ろで、そうだ!そうでヤンス!と1年生達が息巻いている。

『あはは、そうだといいけどねえ』

「そうはならないって決まってる?」

松野が大きな目を鋭く細めてそう言う。

『さあね。私がこれを選んだ結果、どうなるかなんてわかんないんだもん。結局最後は信じたものに縋るだけだよ』

そう言って胸元石をギュッと握った。

「研崎がそろそろ着くってよ。お前ら、ちゃんと被っとけよ」

『うわっ、』

染岡に後ろからコートに付いたフードをかぶされ頭に手を置かれる。

『ちょっと!自分で被れるんですけど?』

「いいだろ別に」

「そこ、いつまでもイチャついてんなよ」

『どこが!?なにが!?』

言ってきた西垣を見れば、やれやれというような顔をされた。
そういえば、こういうこと言われたら先に真っ赤になって怒りだしそうな染岡が黙りだった。珍しい、エイリア石のせいだろうか。

「とにかく、もうすぐイナズマキャラバンが来るぞ」

気になって顔を見上げる前に、西垣がそう言ってきたので、そうだった、とこれから起こるであろう戦いに向けて身を引きしめるのであった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ