フリースタイラーの変遷

□脅威の侵略者編
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自分が破ってみせると、自ら声を上げたアフロディに雷門イレブン達はボールを集めた。
その度に、ボンバのイグナイトスティールとゴッカのフローズンスティールが彼に襲いかかった。
それでも尚、アフロディは立ち上がりまたボールを求め、ダブルディフェンスへ立ち向かっていく。

「あのアホ何考えとんの!!」

ベンチから見ていられない、と言うようにリカちゃんが立ち上がる。

「あんなことしてたらホンマにくたばってまうで!!」

『そうだね………』

みんな不安そうにフィールドを見つめる。
このままじゃアフロディは………。
この先どうなるか、なんて分かりきっている。それでも、私は………。


「ぐぁっ、」

「アフロディ!」

フローズンスティールで吹き飛ばされたアフロディが背中から地に身体を打ち付けた。

「アカン、やっぱり見てられへん。監督!ウチと交代や!ウチが代わりに出る!!」

リカちゃんは身を乗り出して、瞳子さんに直談判するが、

「それは許可出来ません」

バッサリと瞳子さんが切り捨てる。

「えっ……」

「貴女の力では、あのディフェンスは敗れません」

「そうかも知れへんけど!!このままやったらアフロディが!!お願いやウチをつこうて!ウチかて雷門の一員や!!」

声を裏返しながら、必死に叫ぶようにリカちゃんが頼みこむ。

知ってて見て見ぬふりをする私とは真反対だ。

「戦わして監督!なあ、監督!!」

首を振らない瞳子さんに、リカちゃんも折れずに交渉し続ける。
その先で、フィールドにいるアフロディに、コレで終わりだと、ボンバとゴッカがスライディングを仕掛ける。

「アフロディ!」

3人が接敵する直前、ヒュロロと上から何かが投下された。
それは、地面に触れた途端閃光弾のように光を放った後、爆風を起した。

アフロディだけでなく、ボンバとゴッカも後ろへ吹き飛んだ。
雷門イレブンは無論のこと、カオスの面々も驚きを隠せないでいた。

「あれは……」

光と煙が腫れ、投下された地点にはふよふよと浮く黒いサッカーボールがあった。
ここから先はもういいだろうか……。
救急箱を持って、倒れたアフロディの元へ駆け寄る。

「みんな楽しそうだね」

その声は遥か上からして、皆が首を上に向ければ帝国スタジアムの上の柱にグランの姿があった。

「ヒロト……!」

「やあ、円堂くん」

そう言って、グランはトンと軽く地面に落ちてきた。

「お前………いったい何しに……」

「今日はキミに用があって来たんじゃないんだ」

ふっ、と小さく笑いながら円堂に応えた後、グランはキッと目を吊り上げて、ガゼルとバーンを見た。

「何勝手な事をしている」

「俺は認めねない!お前がジェネシスに選ばれたことなど!」

「選ばれた……!」

瞳子さんがベンチで1人、青い顔をする。

「我々は証明してみせる。雷門を倒して、誰がジェネシスに相応しいのか!」

「往生際が悪いな」

明らかに怒っているという態度を見せたグランは、黒いサッカーボールを光らせた。
これはいつも、エイリア学園が消える時と同じ感じだった。

「待て、ヒロト!」

気づいて円堂が引き留めようとするが、グランは円堂に向けて笑みを浮かべたあと、不意に私の方を見た。
円堂には笑みを浮かべたのに、私には眉を顰めるような顔をして、彼は黙ったままカオスの面々を連れて消え去ってしまった。


「そうや、アフロディ!」

リカちゃんの声でみんながハッとした様子でこちらを見る。

「アフロディ、大丈夫か!?」

「はは、このくらい、平気さ」

駆け寄ってくる皆に、アフロディは小さく引きつった笑みを見せる。

『……馬鹿言いなさい。全身酷い打撲状態よ。擦り傷も酷いし、さっきの爆風で飛ばされた時、頭も打ってるだろうし………。とりあえず病院で診てもらわないと』

瞳子さんに言って、急いで古株さんにキャラバンをスタジアムの出口に回してもらう。

『円堂、アフロディをキャラバンに乗せるの手伝って』

「おう!任せろ」

円堂が力強く頷いて、倒れたアフロディに肩を貸して立ちがらせる。

「ふっ」

「どうかしたか?」

急に笑ったアフロディに、きょとん、と円堂が目を丸くする。

「いや、前にも水津さんに、病院で診てもらえと怒られたなと思ってね」

「前……?」

世宇子中との戦いの後、円堂達は勝利を喜んでた所だったから、私とアフロディのやり取りは知らないか。

『怒ってるんじゃなくて、心配してるんだけど』

「分かっているよ。キミは、優しい人だから」

ふんわりと微笑んだアフロディを見て、思わず目を逸らした。

優しい人は、知っててこうなるまでほっとかないよ。

『優しいのはリカちゃんみたいな子だよ』

傷付くアフロディを見て、代わりに試合に出ると彼女は必死だった。
そして、アフロディもあんな無茶をしたのは、吹雪に何かを伝える為だった。

私はああは成れない
自分よりずっと若い子たちが、頑張ってるというのに……。
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