フリースタイラーの変遷

□脅威の侵略者編
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すう、と円堂が鼻から大きく息を吸って、にっと笑った。


「戻ってきたぞー!」

稲妻町の河川敷に、イナズマキャラバンが帰ってきた。

「よし、1度家に帰ろう!」

「家か〜」

円堂の言葉を聞いて壁山が、しみじみとつぶやいた。

「長いこと留守にしてたからな」

「お母さんたちも心配してるだろうなぁ」

鬼道や秋ちゃんもそう呟く。

「家庭でのリフレッシュも大事だわ」

「いいですよね、監督?」

夏未ちゃんがそう言い、円堂が監督に訊ねれば、監督は頷いた。

「いいわ。1日ぐらい休みましょう」

やったー!!と、雷門中生達が喜びの声を上げる。
そんな中、おいおい、と綱海が言いながら自分の顔を指さした。

「俺達はどうするんだよ」

「みんな家に来いよ!母ちゃんの肉じゃが、最っ高に美味いんだぜ!」

「俺、肉じゃが大好きです!」

「オレはきらーい」

立向居がキラキラと目を輝かせ、木暮が壁山の頭の上で嫌そうな顔をした。

『みんなで押し掛けたら大変だろうし、塔子ちゃんとリカちゃんは家に来る?ワンルームだから広くはないけど』

「確かに、円堂んちに沢山で行ったら迷惑かもな」

「ほんなら、ウチらは水津んとこ行こかー!」

『うん、おいでおいでー』

そんな会話をしていたら、あっ、と吹雪が呟いて、空を見上げた。

「どうした吹雪?」

吹雪の隣に立つ土門が気が付いて掛ける中、空気が冷えた。

「ん?」

それから、空から黒と水色のサッカーボールが、青白い光を纏って、物凄い勢いで落ちてきた。

眩い光が落ち着いて、目を開ければグラウンドにぽっかりと穴があいていた。


《雷門イレブンの諸君。我々、ダイヤモンドダストはフットボールフロンティアスタジアムで待っている。来なければ黒いボールを無作為にこの東京へ打ち込む》

「なんだって!?」

ボールから聞こえてきた音声に、円堂が驚きの声を上げる。

「無作為に……!?」

「無作為って?」

鬼道が眉を顰める後ろで壁山が首を傾げた。

「デタラメって事ですよ!もしそんな事されたら東京がめちゃくちゃに……!」

目金がそう説明すると、壁山は、ええっーと驚いた。

「大変ッス!!」

「仕方ないわ。直ちにスタジアムに向かいます」

皆、はいっと返事をして急いでキャラバンへ乗り込んだのだった。











「相手はどんな連中か、全く謎よ」

フットボールフロンティアスタジアムに着いて、監督がみんなを集めた。

「どのような攻撃をしてくるか分からない。豪炎寺くん、FWは任せるわ」

「はい」

力強く豪炎寺が頷き、横で見ていた円堂が嬉しそうな顔をしていた。

「豪炎寺くんは確実にマークされるわ。彼にボールを回すのも大事だけど、チャンスがあればゴールを狙いなさい」

はいっ、とみんなが返事をする。

「来いって言っときながら奴らは来てないじゃないッスか」

壁山の言葉に、目金が、ん?と後ろのベンチを振り返って見た。

確かに彼が言うように、そこには誰も居なかった。

「この僕に恐れをなしたんでしょうよ」

壁山の方に向き直り、メガネのフレームを持ってキランと光らせた目金の後ろから、青白いく眩い光が放たれて、皆、目をつぶった。

光の眩さが落ち着くと共に、薄い氷が花びらのように舞う中、青いユニフォームを着た11人が現れた。

ダイヤモンドダストのキャプテン、ガゼルは、ふっと、口元を緩めれば、壁山と目金が身を寄せあって震えた。

『僕に恐れをなした、とか言ってなかった?』

「い、言ってませんよ、そんな事!」

ブンブンブンと青い顔をしながら目金は首を振った。


「エイリア学園マスターランクチーム、ダイヤモンドダストだ」

ガゼルは改めてチームを紹介した。

「マスターランク……」

「円堂。君達に凍てつく闇の冷たさを教えてあげるよ」

「冷たいとか暑いとかどうでもいい!街や学校を壊そうとする奴らなんて、俺は絶対許さない!」

ガゼルの厨二病を円堂が持ち前の熱血であしらう。

それからガゼルはダイヤモンドダストと共に 、さっさとポジションに着きに行った。

やはり、ガゼルの興味は円堂のようで、グランのようなあからさまな視線を送ってきたりはしない。
バーンのように、勧誘してきたりしない。
少しだけ、ホッとして、ベンチでドリンクとタオルの準備を進めるのだった。


履霜堅氷
何も起こらず、シナリオ通りに進めばいいのだけれど。
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