フリースタイラーの変遷

□脅威の侵略者編
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GKからFWにポジションチェンジしたデザームは雷門イレブン達を吹き飛ばしながら、ドリブルで進んでいく。

「速くて強いドリブル!これがキーパーだとはとても信じられないっ!!」

角馬くんの実況通り、スピードもパワーもあるドリブルでデザームはあっという間にゴール前へ躍り出た。

「覚悟はいいか!」

「来いッ!」

「嫌な予感がする……円堂さん!」

構える円堂を見ていた立向居がベンチから立ち上がって叫ぶ。

「グングニル!」

亜空間に飲まれたデザームがその中から打ち出した必殺シュートがゴールへと飛んでいく。

「正義の鉄拳!!」

グングニルと正義の鉄拳が正面からぶつかり合うが、グングニルのパワーに押され円堂は後ろに弾き飛ばされた。

「何っ、」

あっ、とみんながゴールを見つめれば、ボールはゴールの中に入ってしまった。

「そ、そんな……」

「正義の鉄拳が……」

完成したばかりの究極奥義が早くも破られてしまった。

「言い忘れていたが、私の本来のポジションはゴールキーパーではない。フォワードだ」

「まさかっ……」

ピッピッピッーとこのタイミングでホイッスルが鳴り響く。

「両者1点ずつの同点で前半戦終了〜!」

『同点か……』

予想だにしない得点だったけど、同点ならまだ彼が戻ってくるチャンスは消えてないだろう。
このまま問題なく話が進めばいいが……。

「梅雨〜」

ベンチに向かって歩き出せば、じろ〜と睨みつけるように見ながらリカちゃんが近づいてくる。

「アンタが余計なこと言うから〜〜!」

も〜!とリカちゃんは頬をふくらませた。

「おい、リカ。梅雨を責めたってしょうがないだろ?アタシだってデザームの舐めたようにシュート打ってこいってボール投げてくるのムカついてたし梅雨が言うことも間違いなかったと思うけどな」

『塔子ちゃん……!』

リカちゃんと同じようにこちらに来ながら塔子ちゃんはそう言ってくれた。


「まーた、そこ2人で結託していっつもウチを悪もんにするんやから!」

「リカは日頃の行いがなぁ」

「あん?言ったな?」

リカちゃんがふざけてオラつくと、塔子ちゃんは笑いながら私の背に隠れた。

「そんなことより円堂のやつ大丈夫かな」

『あー、どうだろうね』

「すっかりお通夜やん」

円堂も、彼を助け起こした周りのみんなも、先にベンチへ歩いて向かうみんなも
明らかにズンと沈んでいる。

私達も線の外に出れば、秋ちゃんと春奈ちゃんからドリンクボトルとタオルを渡された。

『吹雪は、どう?』

「だめね。反応がないわ」

首を夏未ちゃんが横に振った。

『そっか』

致し方ないと芝の上に腰を下ろす。
戻ってきた他のみんなもタオルやドリンクを受け取って、芝に座っていく。そんな中、円堂だけは少し離れた場所で立ったまま特訓ノートを読み込みだした。

「円堂さん……」

「なぁに!」

ポンと綱海は自分の膝を叩いた。

「正義の鉄拳が通用しないならその分俺たちが頑張ればいいだけだ!だろ?」

「そ、そうッスよ!俺がんばるッス!」

綱海の言葉を受けて壁山がグッと拳を握った。
怖がってすぐトイレに行きたがってた壁山が成長している。

「でも、点を取らなければ勝てない」

鬼道はそう言った一之瀬を見たあと、吹雪を見て、それから私の方を見た。

「チャンスがあれば積極的にシュートを狙って行こう。今キーパーをしているゼルがデザームより実力が劣るとすれば俺たちにもゴールチャンスはあるはずだ」

デザームがフォワードなのが本来のポジションなら、ゼルも正GKのはずなんだけどね……。

「点を取りに行くぞ!」

鬼道の掛け声に皆は、おう!と返事をして立ち上がり、フィールドへ戻って行く。

『3人とも吹雪の事よろしくね』

タオルとドリンクをベンチに置きながら声を掛ければ、マネージャーたちはええ、と頷いた。

「貴女も無理はしないでね」

ぽん、と夏未ちゃんに肩を叩かれる。その顔は何だかとても神妙そうだ。

『え、ああ。うん。ありがとう』

大丈夫。だってあとは彼が来るのと円堂の正義の鉄拳しだいだ。

その円堂はと言えば立向居に何やら呼び止められている。
私が入ることで立向居をベンチに追いやってしまうことになったから、気づくかどうか心配だったけど大丈夫そうだ。

問題は、私への興味が無くなって欲しいんだけど、なぁ。

フィールドへ戻ってポジションへ着く。
そうすれば向かい側にいるデザームがニヤァと口角を上げた。

「水津よ、望みどおり同点だ。さあ、お前のシュートを見せてみろ!!」

『……はあ』

どうしたらいいんだこれ
まだフォワードで居てくれるだけマシか。
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