長い夢
□18 ヤグルマの森
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「たしかにピカチュウっぽいパジャマだけど!…もう!とりあえず、頭痛もろもろが治ったから一件落着ね。」
さっきから申し訳無さそうというか顔をオクタン見たく真っ赤にしながら俯いている。少年の名の通りにね!上手い!
レ「でも…君も君だよ!出ようと思えば出られたんじゃないの!?」
「いいえ、抱きしめられてたので出られませんでした!」
レ「…だぁー!なんで朝っぱらからバカップル見たいな話をしないといけないの?!」
違う意味でかっかされた。静かにしないとジョーイさんに怒られかねないので黙って欲しいのだが。
そう考えてたら都合よく静かになったけど彼の機嫌は見かけだけ治り、ヤグルマの森に入るまで本質的には治ってくれなかった。
レ「おれはもう嫁に行けねぇ…」
「いや、お前男だろ…。」
あほらしい。ドンだけ気にしてんだよ。男の子の癖に。さすがにイライラを出すわけには行かないので抑えているつもりだが顔はきっとしかめっ面かもしれない。
レ「あからさまにそんな怒らなくても…。」
「ごーめーんなーさーいーね。」
謝ればいいんでしょ、謝れば!あたしは子供じみた意地を張っていてもう恥ずかしいとかそれ以前の話になってしまった。とにかく、無性に湧き出てくるイライラが対処できないのである。もうレッドさんにはおこってないはずなのに!あーーー!腹立つ。なんでだぁ!
レ「ピカチュウ、どうしよっか…。」
ぴぃか…
レ「わかんないよな。そっとしとこ。」
「ひぃ!!」
レ「!?(こんどはなんだよ!)」
俺が振り向くと何者かにもみくちゃにされている名無しさんがいた。どうしてこうなった。
あ…この長髪はトウコか。もう一人…?
トウコ「お久しぶりですー!名無しさんさぁん!」
「や、やめてけれ…つぶれるから…!トウコちゃん、トウヤくん…。」
トウヤ…?ん…?男…?年下に好かれてんのなぁ名無しさん。うらやましい。
…そんな呑気なことを言ってる場合ではなかった!とりあえず救出しなきゃ!
レ「せいや!」
「いだぁいー!!」
すぽんと効果音がつきそうなくらいきれいに名無しさんが抜けましたー!8888888ついでにイライラして無い!ナイス!
「レッドさんありがとね…。」
レ「俺の後ろに隠れても意味無いと思うよ。」
天然なのかこいつは?とにかくあほなのは確か…おっとまた名無しさんが怒りそうなのでやめておこう。無駄な争いはしない主義だ。
できる限り旅をするときもトレーナーと視線を合わさないようにする。そうすることで旅がスムーズに!まぁそんなことと似た感じだ。今は。…めんどくさい訳ではない。
トウヤ「ねぇ、名無しさんさんそいつ誰ですか?」
レ「初対面でそいつ呼ばわりされるとは思わなかった。レッドだ。よろしく。」
トウヤ「僕、レッドさんに聞いてません。名無しさんさんに聞いてるんです。こいつは誰なんですか?」
レッドさんが珍しく握手するために手を伸ばしたと思っらトウヤくんにスルーされた。そしてスルーした本人はこちらへ鬼のような顔してやってくる。
「…?レッドさんだよ。」
トウヤ「そこじゃないです。名無しさんさんって困る顔もかわいいんですね。」
「?旅の相方だよ。」
トウヤ「それだけ?」
「それだけ。ねぇレッドさん?」
レ「うん、まぁそんなとこ。」
トウヤ「ふぅん…。万が一”僕の”名無しさんさんに何かしたらただじゃおきませんからね。」
「はぁあ!?」
トウコ「あ!トウヤずるい!名無しさんさんはあたしのなんだから!」
レ「…!?」
「レッドさん違うから!勘違いしないで!あたしは別に…!」
レ「いや、恋愛するのはいいことだ、楽しみたまえ。でも二股はよくな…」
「誰が二股じゃこらぁ!あたしにそんな趣味ねぇわ!」
レ「俺との関係は遊びだったのね…シクシク」
「話をややこしくするなぁ!それで楽しむなぁ!」
トウコ「あ!こんなことを話してる場合じゃなかったんだった!名無しさんさん大変なんです!シッポウ博物館の骨が盗まれたんです!」
「え、あ…うん。」
トウコ「だから、名無しさんさん、レッドさん!助太刀お願いします!一緒に探して欲しいんです。」
急展開過ぎるだろ!?
レ「よし、…分かった、ぶっ潰す。見ていろよ、プラズマ団!あーはっはっは!」
なんかレッドさんが悪人みたいだよ。
哀れなプラズマ団。