長い夢
□15 頭突き
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レ「さ、シッポウジムに行くよ」
「え…?」
え!?早くないっすか?まだ来たばっかりじゃないか!
レ「だーかーらー!シッ ポ ウ ジム!」
「それはわかっとるわ!用は、いくの早くないか?ってことなんだけど…?」
うんうんとうなづき納得の表情のレッドさん。なぜにそうなる。
レ「あぁ、確かに早いね。でも、まぁ、いけるさ!」
「その自信どっから来るんですか…?あたし、まだちょっと不安が…」
そう。あたしはまだまだ不安だらけなのである。
レベル的には大丈夫かもしれないけど、他が実際きわどい感じだし…。
もんもんと考え続ける…。
レ「あのねぇ、今日君にいかせるわけじゃないんだよ?俺が行くんだからね?」
はぁ…?
あたしはきっとマメパトが豆鉄砲喰らったような表情してるんだろう。
レッドさんもあたしの表情見て一緒の顔してるし。絶対、こいつなにやってんの!?ってなってるよ絶対!
「……。」
レ「ま、そういうことだから!早く行こう!」
「レッドさん、あたしのこと馬鹿にした…?」
レ「そんなことしてねーよ!」
いや、笑ってるし絶対したよね?
―――――
「シッポウジム前到着!」
レ「うん。」
いっつも思うんだけどもうちょい話題を広げてくれても良いのではないのだろか…?
レ「さ、入るよ〜」
って、もう入ろうとしてるし!自動ドアへの駆け込みは駄目だろ!
「ちょまてよ。」
あたしが自動ドアに近づこうとした時…
ウィーーン…
レ「あ…」
ごつーん☆
なんかコミカルだけど、ものすごく痛い音がした。きっと星が舞ってるよ。
レ「……!」
なんと、レッドさんはドアの向こうから来た誰かと正面衝突。
レッドさん、無言でおでこ抑えてる。そして、帽子吹っ飛んでった…。
痛そうだ。
レ「…あぁ…ピカチュウ帽子ありがとう。いったぁ…」
あれ…?もう片方で痛がってもない緑ロンゲ…どっかで見たことあるような。えーと
レ「N!!」
そうそう、Nだよ。N!……はぁ!?
N「奇遇だね君たち。
…そういえば僕は誰にも見えないものが見たいんだ。たとえば…ボールの中のポケモンたちの理想。トレーナーという在り方の真実…。そしてポケモンが完全となった未来。君もみたいだろう…?」
一方的に語りかけてくるN。
レ「見たくはないね。俺は今の世界の在り方でかまわない。」
自分の意見を返すレッドさん。
あたしは、その場の二人の雰囲気に飲まれて何も喋ることができない。悔しい…
N「そうかい…期待はずれだよ。それより僕と僕のトモダチで未来を見ることができるか君でためさせてもらうよ!」
レ「俺で試すとはいい度胸してるね。ピカチュウ、たのんだ!」
やる気満々のピカチュウから放たれる電気が音を立てている。
そして、ピカチュウに指示を出したままなぜかこちらへ近づいてくるレッドさん。といっても、三歩ぐらいしか離れていないのだが。
レ「名無しさん、危ないから、ちょっとごめんよ。」
「え…?」
体に手を伸ばされ田と思えば体が宙に浮いていた。
そして、背中とひざ下にある手の感触。
「ちょ、何をするの!?」
レ「落ちるから暴れないで。」
近い顔と顔の距離。
あ、あれ?これってもしや、お姫様抱っこじゃね…?
そのまま数メートル進み立ち止まる。
レ「はい。…今度からはちゃんと言われなくても動けよ。」
気がつけば、もう地面に足がついていた。
遠くでは一人(一匹?)で戦うピカチュウの姿。走る雷撃がここからでもまぶしく光る。
その光のたびに次々と倒れていくNのポケモン達。
もうレッドさんが着くまでに、Nのポケモンは3匹目となっていた。
あれ?レッドさんの表情がまだ険しいぞ?
レ「…?(なにこいつうざい。)」
何かと思えばオタマロじゃん!やっぱり顔うざ!レッドさんの気持ちは良く分かるよ。
かわいげ…はある…のか…?
「レッドさーん!そいつのタイプは水地面ですー!顔がドヤ顔だからー!」
レ「み、見た感じで大体分かるわそんぐらい!ってドヤ顔関係ないだろ!」
N「バトル中に会話…。バトルに集中してよね。」
レ「言われなくてもそうするつもりだったよ。」
N「オタマロ、超音波!」
キーーンとしたきつい音が遠くからでも良く聞こえる。
頭逝ったわ…がんがんする…。これがもっと近いところで聞いたら倒れていただろう。
レ「っ!ピカチュウ正気を保て!アイアンテール!」
ぴぃーかぁ…。 ぴぃ!!
ピカチュウが混乱しふらついていたのは数秒の間。
そしてバシーン!!とバトルに終止符を打ち込むような強烈な音が聞こえた。
同時にあたりは、静かになった。
レ「お疲れ。ピカチュウ。」
レッドさんの肩に駆け上り、擦り寄るピカチュウ。
N「……!
……まだ未来は見えない…世界は未確定だ。今の僕のトモダチとではポケモンを救い出せない。世界を変えるための数式は解けない。僕には力が必要だ。誰もが納得する力…!」
そういって、今回も静かにその場を立ち去っていった。
N「しかし、必要な力は分かっている。このイッシュ地方を創った伝説のポケモンレシラム!僕は、英雄になり君と友達になる!」
レ「レシラム…?」