長い夢

□9 チェレン
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――がちゃこーん



トレーナーズスクールの中に入ってみた。

頭上で、ベルが鳴る。



         ざわざわ――


「にぎやかだなぁ…」


とりあえず、授業中ではなくて一安心。


そしてなかは、ゲームで見たより学生たちであふれている。


そして、広いことこの上ない!
二階…三階まであるようだ。





たしか、黒板の近くにチェレンが居たような気がするが…?


…いない。






「つまらないなぁ…」


そういって、黒板を眺める。

知っていることばかりでこれもつまらない。



「帰ろう。」



そう思って、くるっと振り返ろうと思ったらなんかぶつかった。





「いったー…」



?「め、めがね。めがね…。」


眼鏡を探してる男の子に、勢いよく飛んでいって落ちた眼鏡を渡す。



?「ありがとう。助かったよ。しかし、あんまり急に振り向くと危ないから気をつけてよね。」







眼鏡を、くいっとかけて、男の子が言う。




―――あれ?こいつチェレンじゃない?






チェレンが眼鏡かけてなかったからぜんぜん誰だか分からなかった…。


チェレン「なんだよ。じろじろと。」



「い、いやなんでもないよ。ごめんなさい。」


チェ「そう。そうだ、君はトレーナー?」



「うん。そうだけど…?」



チェ「じゃあ、バトルしない?
君新人っぽいし、まぁ僕も新人だけどね。
でもバトルすればお互い勉強になるだろ。あ!僕はチェレン。君は?」



話はえぇ!!あたし、君についていけないよ!
ゲームではもっと自然だったのに!

てか、こんなによく話す人だったか?


「名無しさんです。お手合わせよろしくお願いします。」


チェ「うん。よろしく。」


そういって、チョロネコをモンスターボールから出してきた。



って、あたし、普通のトレーナーと戦ったこと無いよ!?

まだ、野生のポケモンだけの経験でだいじょうぶか?


どうしよう…。




えぇえい!どうにでもなれ!これはせっかくのチェレンとのバトルチャンス!逃がすか!!



「キャサリン出てきて!」


キャサリンは張り切っている。

…一安心だ。変に緊張していたりとかしていたら
一層、どうしようもなくなるところだった。




チェ「…この地方では見かけないポケモンだね。」


チェレンはじぃっと観察するようにキャサリンを見ている。


「ウパーっていうんです。…ジョウトのポケモンですからね。」


チェ「へぇ。でもどこのポケモンだろうと関係ないね。チョロネコ、ウパーに向かって引っかく!」



「よけて!キャサリン!」


間一髪で、かわすことができた。なんだかこのチョロネコ、すばやいぞ!


チェ「続けてネコの手!」


「!?上へジャンプでかわして!」


するすると、キャサリンの足につるが絡まり地面に突き落とされる。

効果は抜群だ!

キャサリンはよろめいている…。が、まだいけるといった表情。



「ひるまずアイアンテール!」


チョロネコに少しかすった。



チェ「まだだよ!チョロネコ、懐に回り込んでもう一度ネコの手!」



「二回も同じ手にはのらない!チョロネコにつっこんで!  そこから、濁流!!」



ドーーーン!!!




激しい衝突音、教室が静まり返った。



キャサリンはよろつきながらも立っている。


あいては…?







チェ「お疲れ、チョロネコ。」


や、やったぁ!勝った…!初めて勝てた。けどさ…



チェ「いくよ、ツタージャ」


喜んだのも、つかの間だった。



草タイプだ…と…?!


つるのむちから、嫌な予感はしていたが、やっぱりそうきちゃいます?



チェ「ずいぶん、嫌そうな顔するね。君も、君のウパーも」



ツタージャは自信たっぷりの顔だ。


キャサリンは、キッっとツタージャをにらみつけている。



チェ「ツタージャ!つるのむち!」



「横に跳んでかわして!距離をとって!」


つるのむちは、一定の距離までしか届かないようである。これなら勝てるかも!



チェ「賢明な判断だね。でも、これならどうかな?おいかけながらつるのむち!」




それは、反則だぁあ!!そんなに、振り回してこっちくんな!壁に、びしびし当たってるし。
ただでさえ、すばやさの低いウパーがツタージャにスピードで勝てるわけが無い。




キャサリンの体力も徐々に減っていって、距離も縮まってくる。




よけきれない、つるも当たってきている


危機一髪!?早く、対策を考えなければ…。



初バトルは初勝利で収めたい…!でも…!




れ、冷静になれ!冷静になるんだ名無しさん!!





チェ「トドメだよ。大きく振りかぶってつるのむちをたたきこめ!」




や、やばい…負ける。
実質、ピチューも居るけど、まだろくにバトルもしたこと無い彼に戦わせるわけには行かない。



黒板や壁をはじきながらつるがせまる。




キャサリンはどうしていいのか分からず縮こまっている。




「(! …わかった。)」




「キャサリン!!壁際にジャンプ!そのまま、つるにむかって冷凍ビーム!」




チェ「…?」

 






    ―――たじゃ!!(べしゃ






チェ「ツタージャ!!」






よし!教室は、狭いから壁が近い。
だから、壁際に向かってジャンプしつるの上方にむかって冷凍ビームでつるを壁に固定。
そして、動けなくなったツタージャは自分のつるに引っ張られるのと冷凍ビームと、こけたダメージで、戦闘不能。








チェ「……。すごい。こんなバトル初めてだよ。名無しさんって何者なの…?」




「えへへ。ちょっとひらめいただけで、偶然だよ。勝負は最後までわからないからね。」



われながらいいこと言ったわー。


そんなこんなで、話してたら、いきなりチェレンが固まった。



「どうしたの、チェレン…?」


チェレンはあたしの後ろを見てまだ豆鉄砲を食らった鳩のように驚いたまま固まっている。





レ「名無しさん、ここにいたんだ…見つかってよかったー。
いきなり居なくなるから心配したよ。」


「ご、ごめんレッドさん。」





チェ「や、やっぱり、あのレッドさんなんですね…!
ファンなんです、会えて光栄です!」


えぇええ!?いま、このツンデレ何って言った!?


そしてなんか、むちゃくちゃ、チェレンの目が輝いてる?

レ「げ…。」


うええぇぇえ!レッドさんちょっと引いてる!?



チェ「こんなところで、お会いできるとは思いませんでした!さ、サインお願いします!」


レ「あ…うん…」


なんじゃこりゃあ!?
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