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□[82]道因法師
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"やったよ、はっちゃん!!"
満面の笑みを浮かべて俺の元にやって来た幼馴染みであるなまえ
俺はよかったな、と言うのが精一杯だった
こんなに近くにいたのに、ずっと一緒にいたのに届かなかった俺の想いはどうすればいいんだ?
誰よりもなまえに近いとこにいたのに、どうして俺の想いは届かなかったんだ?
"はっちゃん、私好きな人が出来たかも…"
頬を赤く染めながら俺に報告して来た日
俺にはまるで死刑宣告のようだった
"今日初めてお話したの。夢みたい…"
ああ、毎日のように話す俺には絶対言ってもらえない言葉
俺も、そう言われる存在になりたかった
"告白、しようと思うの…"
随分積極的だな、とびっくりした
一年の頃から知っていて、多分俺はなまえと一番話す忍たまだったから
"明日告白するね。大丈夫かなぁ"
そうに言うなまえを、どこかに閉じ込めてしまいたいとさえ思ったんだ
だってずっと好きだったんだから
でも俺にはそんな事出来ない
だって俺はなまえの一番近くでなまえの幸せを願っていたのだから
終わりを告げる想い
思ひわび
さても命は
あるものを
いきにたへぬは
なみだなりけり
(道因法師)
脈なしだってわかっていても彼女しか見えない
死ぬほどつらい恋だ
涙がボロボロこぼれてしまう