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□[22]文屋康秀
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「なまえ先輩…」

「も…、無理…です…」

息も絶え絶えに訴えてくる後輩2人

金吾としろちゃん

いつもの事ながら、本当に2人は偉いよ

毎日ボロボロになるまで委員会やって、ちゃんと次の日も委員会に来るんだから

それに比べ、あの委員長は…

「なまえ先輩、三之助と七松先輩がいません!!」

『小平太はすぐ見つかるからどうでもいいわ!! 滝ちゃんは三之助の捜索よろしく!!』

「分かりました!!」

本当、滝ちゃんも偉いよ…

あの暴君をちゃんと先輩扱いしてるんだもん

私ならしないね、確実に

『ほら金吾にしろちゃん、生きてるー?』

ちょうど近くに小川があったので、そこで金吾としろちゃんに水をかける

こんなに小さい子達になんて過酷なことをさせるのかしらね…

「生き、返った…」

呼吸も整ってきて、水を飲み始める

流石は体育委員、呼吸が整うの早いなぁ

「なまえ先輩、いいんですか?」

『ん? 何が?』

「七松先輩の捜索に行かなくて…」

下から見上げてくる金吾としろちゃん

ああ、もう

何でこの子達が体育委員なんだろう

六年になって小平太に似たらどうするのよ

『いいのよ。さ、2人とも行くよ』

元気になった後輩達を促し、再び裏々々山を歩き出す

『ほら、これが小平太が通った跡』

「「…………」」

『みんなが途中で脱落しちゃったから、1人で本気で走ってるのね』

小平太が通った跡、そこは草が一定方向を向いて倒れている

木についている葉でさえも、倒れている草と同じ方向を向いている

『この倒れてる草を辿れば、小平太は見つかるよ』

「すごい…」

ほんと、1人で突っ走って行くのはいいけどね?

自然界に影響を与えるのはどうかと思うよ?


嵐と書いて、小平太と読む







ふくからに
秋の草木の
しをるれば
むべ山風を
あらしといふらむ
(文屋康秀)









見て見て、風メッチャ強くて
草木なぎ倒されてんじゃん
だから「山」に「風」で「嵐」っていうんじゃね?

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