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□[44]中納言朝忠
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分かっていたわ

あなたを独り占めなんて出来ないことくらい

知っていたわ

あなたが多くのくのたまと仲良かったことくらい

だからこそ思うのよ

あなたと出会わなければよかったのに、と








初めて話をしたのは、いつだったかしら

もう覚えてはいないけれど…

初めてタカ丸が私にかけてくれた言葉は"綺麗な髪だね"

二つ下の学年なのに同い年で、どう接するか悩んだっけ

タカ丸は全くそんなの気にせずに話し掛けてくれて

元々積極的ではない私の、貴重な忍たまの友人だった

仲良くなって、半年過ぎたあたりだっけ

タカ丸が私に告白してくれたのは


―付き合って下さい


いきなり、いつになく真面目な顔して

本当にびっくりしたし、嬉しかったの

そして今日で丁度半年

なのに、タカ丸の心は違うくのたまに向いているわ

どうしてなのかな?

私たち、どこで間違えたの?

タカ丸にとって、私はただの遊びだったの?

私は今でもこんなにタカ丸のことばかり考えているのに

タカ丸のことを思うと、辛く寂しいの

もうタカ丸の心は戻って来ないの?


離れた心、忍び寄る手



なまえ先輩、

綾ちゃん?

タカ丸さんなんかじゃなくて、私に恋してみませんか?

綾ちゃん、に…??

はい。絶対、先輩を1人にしませんから

……そう







あふことの
絶えてしなくは
なかなかに
人をも身をも
うらみざらまし
(中納言朝忠)





いっそあなたが一度も振り向いてくれなくて
恋の味を知らなかったら
私は今、こんなに辛くなかったのに

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