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□会計委員のお母さん
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※紗依のみ


『はい、文次郎。終わったよ』

「…相変わらず早ぇな」

『そりゃ、何年も会計委員やってるしね』

寧ろ文次郎が遅いんじゃない?と言ったら睨まれちゃった

事実だと思うけどな…

予算会議前の帳簿の計算は、膨大な量に及ぶ

その上、昨日まで私と文次郎が実習だったため、滞っていた仕事がたくさんある

今日は徹夜かな…

『ねぇ、文次郎。例の如く後輩達が危ないけど…?』

会計委員室を見回せば、見えるのは魂が抜けかけている三人の後輩

辛うじて、三木ちゃんはまだ大丈夫みたい

「まだまだだな」

『全く。自分にも他人にも厳しいんだから』

私は黙々と仕事を続ける文次郎は放っておく事にする

既に屍と化している左吉、団蔵、左門の肩を叩く

『左吉、団蔵、左門。大丈夫?』

「伊助、ごめん許して…」

「は組に負けてたまるか…」

「僕は寝ていない…」

あらら…

みんな完全に寝てるね

座って寝てたら体が痛くなりそうだな

『ほら、一回起きて。横になっていいから』

そう声をかけると、もそもそ動き出す三人

団蔵と左門は私の膝を枕に、左吉も近くに寄って来た

『まだ下級生だもん。いいでしょ?』

「…好きにしろ」

文次郎は不満げだけど、後輩にも文次郎と同じ扱いは出来ない

この子たちには、ちゃんと寝てもらわないとね


会計委員のお母さん


あ、三木ちゃんも限界?

…そんな事、ないです

無理しないでよー。ほら、おいで

いやいやいや、無理ですから

何で? じゃあ文次郎、来る?

アホ!!


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