Short Story

□あまりにも近い、ひだまり
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『………』

「いらっしゃい」

無言で保健室に入った私を、柔らかい笑みで迎え入れてくれた乱ちゃん

大川学園最高学年になり、保健委員長になった彼

歴代の保健委員長と同様に不運と呼ばれ、優しい彼

乱ちゃんとは小学校から一緒の友人

誰にでも優しく、まるで母親のように他人を包み込める

乱ちゃんは、昔からそうだった

いつしか私は、乱ちゃんのいる保健室によく訪れるようになった

「どうしたの?」

『振られちゃった』

1年の時から想い続けていた人に、告白した

3年間同じクラスだったその人は"ごめん"と小さく呟いた

"好きな人がいるんだ、とも言っていた"

悔しいとは思うけど、仕方ないかな、とも思う

だってその人が私に好意を抱いていないことくらい、分かっていたもの

「頑張ったね」

私の頭をぽんぽんと撫でる乱ちゃん

小さい子扱いされたみたいでいつもなら文句の一つくらい言ってやる

でも、今日は乱ちゃんのその優しさに甘えたい

『大丈夫だよ』

うん、私は大丈夫

支えてくれる乱ちゃんがいるから

こんなにも近くに、良い人がいるのだから


あまりにも近い、ひだまり






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