Short Story

□気持ちを独占
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「何故俺はモテないのだろうか!?」

え、馬鹿じゃないのこいつ

委員会中に何を言ってるのだろうか

「聞いてんのか、絢乃!!」

『聞いてるけど。言っていいの? モテない理由』

「う…っ!! 試しに…」

『馬鹿だし生物委員だし髪の毛ボサボサだし獣の臭いするし毒虫逃がすし…』

「すんませんっしたあぁ!!」

全く、本当に竹谷は馬鹿なんだから

言えって言われたらいくらでも言ってやるわ

「何でだよ馬鹿なのは認めるし髪の毛ボサボサなのも事実だ…。だが何故生物委員がダメなんだ!?」

『くのたまは皆毒虫嫌いよ』

「じゃあ孫兵や1年の三治郎や虎若もモテないのか?」

『馬鹿言ってんじゃないわよ。あんたと彼等を一緒にしないで』

孫兵はロマンチストだから許されるのよ

三治郎や虎若は絶対将来、竹谷より格好良くなる

『急に何なのよ。モテたいの?』

「や…。モテたいって言うか…」

『何よ。ごにょごにょしちゃって』

竹谷のクセに、モテたいなんて贅沢なこと言っちゃって

絶対竹谷は私の気持ちなんて知らないんだ

「俺は三郎や勘右衛門と違って、女との関わり方が分かんねぇだよ」

『そりゃ、経験値が違うじゃない。他人と比べるのが悪い』

「じゃ、好きな奴ともっと仲良くしたい場合はどうしたらいい?」

『…知らないわよ』

竹谷の恋の手伝いをするなんて、嫌

私は竹谷の事がずっと好きだったのに

他の子と竹谷がくっつくのを見るくらいだったら、竹谷は一生モテなくていい

「じゃあ、絢乃は好きな奴がいたら、どうしたい? どうしてほしい?」

『私…?』

「そう、絢乃」

『私は、一緒にいられればそれでいい』

本当に、ただそれだけ

それ以上の事は望まないから、今というこの時間を大切にしたい

「そっか。…よし、絢乃!!」

『!?』

「一緒にいよう!!」

『は…?』

「俺が一緒にいたいのは絢乃、お前だ」

一気に顔が赤くなっていくのが、自分でもよく分かった

だってそんなの、不意討ち過ぎるから

「絢乃、答えは?」

『う…、はい』

私が竹谷を好きになったのは、そんなところ

不意に、とても格好良く笑う

その笑顔に私はとことん弱いの

竹谷のダメなとこがたくさん見つかったのは、ずっと竹谷を見ていたから

竹谷のダメなとこも見つけたけど、それ以上のいいとこも見つけた

「じゃ、絢乃はこれから俺のもの、な」

ニカッと笑う竹谷

私はこうして、竹谷しか見られなくなるの


気持ちを独占



…伊賀崎先輩、どうしますか?

絢乃先輩が赤面する姿、初めて見た

虎若、三治郎。取り敢えず僕達は戻ろうか

放って置いていいんですか?

邪魔しない方がいいでしょ










竹谷は自分が思ってるほどモテない訳じゃない
それなりにモテるけど、毎回チャンスを逃すタイプだといいと思います

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