Short Story

□今を生きる、
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『…納得出来ない』

「まだ言ってんのか?」

はぁ、と呆れ顔をしてため息を吐いたきり丸

だって、納得出来ないものは出来ないでしょう?

「はにゃ〜、僕達と同い年は嫌なの〜?」

『そう言う意味ではないんだけどー…』

「じゃあ、何が嫌なの〜?」

見渡すと、教室には全部で11人の男子

の中に、私だけ女子1人

全校の女子に喧嘩売ってるみたいだよね…

けど、問題なのはそこじゃない

「もう遅いだろ、2年も遅く生まれたのが悪いんすよ。絢乃センパイ??」

『団蔵殴らせろ』

「絢乃、言葉遣い」

『はぁーい…』

ほんと、伊助はこのクラスのお母さんだなぁ


私には前世の記憶がある

私だけじゃなく、このクラスの男子みんな

他のクラスにも、かつて同じ学園に通っていた仲間がいる

でも、さっき団蔵が言ったように、私は2年も遅れて生まれて来た

「数馬先輩が寂しがってたよ、絢乃がクラスにいないって」

『うー…。数馬ー…』

私は今の3年生と同い年だった

今同級生である乱太郎達は、昔の後輩

みんなこの高校に入った時に出会った

最初に会った時は嬉しかった

何百年越しに会えたから

でも、悲しくなった

かつての同級生は先輩だったから

時々遊びには来てくれるけど、やっぱり同じ学年が良かった

「みんな、静かに」

ふと声がして、教卓を見ると学級委員の庄左ヱ門

黒板の前に立っている様子が様になってるねぇ

「来月、中等部高等部合同体育祭が行われることになった」

…はぁ、また学園長の思い付きかな

「組分けは縦割りクラス。各学年の3組が同じクラスだよ」

ということは、数馬や藤内と一緒か

それなら楽しそうだな

「やるからには?」

「勝つ!!」

威勢の良い団蔵の声

みんなの顔も、無邪気な子供みたいに輝いている

未だ慣れない年の差だけど、このクラスも悪くないね


今を生きる、




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