Short Story

□I miss you...
1ページ/1ページ


「ねー、久作に左近にろじー」

「何だ?」

「これ、何て訳すの?」

僕が3人に見せたのは、絢乃から昨日来たメール

絢乃は幼馴染みで、幼稚園から中学校まで一緒だった

けど、絢乃は全寮制の進学校に行っちゃって

勉強が忙しいみたいであまり帰れないみたい

そんな絢乃から来たメールの本文は、短く一言


"I miss you..."


たったこれだけだけど、絢乃と違って僕は勉強ダメなんだよ?

日本語でさえ時々危ういのに、ましてや英語なんてね…

「…おい、しろ」

「なぁ〜に〜?」

「お前もう一回中学生やり直して来い」

「酷いよろじ!!」

認めたくないけど、そうかもしれない…

中学の時、テスト前は絢乃に頼りっぱなしだったくらいだし…

「電子辞書とか使った?」

「そんな高度なもの、僕が使えると思う?」

久作の問いに答えると、3人ともため息を吐く

「しろは暴君の再来と謳われるほどだもんな…」

「左近が遠い目してるー」

そう言うと、お前のせいだ!!って怒られちゃった

確かに暴君の再来とは言われてるけどね

なんか僕が歴代体育委員で一番七松先輩に似てるらしいんだよね〜

「しろ、"I"の意味は分かるか?」

「もちろん。"私"でしょ?」

「じゃあ、"you"は?」

「"あなた"、だよね?」

ここまでは、何とか分かったんだけど

肝心の"miss"をどう訳すのかが分からないんだよ…

「ほら、しろ。ここ見てみな?」

「?」

左近が差し出して来た電子辞書

"miss"を調べてくれたみたいで、文字がわらわらしてる

「今の画面の、真ん中辺り。例文で同じのがあるだろ?」

左近が言うように、真ん中辺りを見てみる

「………」

「分かったか?」

「絢乃のとこ行って来る!!」

もう、何でもっと早く言ってくれないのかな、絢乃は!!

言ってくれれば、すぐに駆け付けるのに

「おい、しろ!?」

久作が止めるのも聞かず、僕は走る

実はお昼休みで図書室にいて、これから午後の授業なんだけど

電車代がないから、隣の隣町の絢乃の学校まで走って行かないと

普通の人だったらすぐバテちゃうだろうけど

七松先輩に鍛えられて来た僕なら大丈夫

待っててね、絢乃

すぐ行くから!!


I miss you...
(あなたがいなくて寂しい)


もしもし、絢乃??

え、しろ? どうしたの?

今、僕がどこにいると思う?

どうしたのよ、急に

今僕ね、絢乃の学校の正門前

うそ…

ほんとだよー。絢乃があんなメールするから、来ちゃったよ

待ってて!! すぐ行く!!









きっとしろちゃんなら、すぐに駆け付けてくれると思うんです

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ