Short Story

□星に願いを、
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「部屋替えを要求する!!」

時は夜、瞬く星で辺りは明るい

もうすぐ眠らなければならない時間

高々とそう宣言したのは団蔵

その言葉に面倒そうな顔をしたカラクリコンビ

伊助ちゃんや乱ちゃんは苦笑していて、庄ちゃんは忍たまの友を読んでいる

なめくじと戯れる喜三太と、それを注意する金吾

虎ちゃんは火縄銃の手入れ、しんべヱは夜食中で、きりちゃんは小銭を磨いている

「で、何でまた急に?」

「よく聞いてくれたな、伊助!!」

ああ、伊助ちゃんは優しいなぁ

憐れんだような視線も含んでいるのは置いておいて

「虎若と一緒はむさ苦しい!!」

うわぁ、虎ちゃん可哀想…

「くたばれ団蔵」

持っていた火縄銃を団蔵に向ける虎ちゃん

それは、仕方ないよね

「それで部屋替え?」

「おう!! で、俺は乱太郎がいい!!」

「私っ!?」

「いや、伊助も考えたんだけどな。絶対毎日怒られるだろ?」

「ああ…」

そうだよねぇ、団蔵が伊助ちゃんと同じ部屋だったら

団蔵は毎日伊助ちゃんに怒られながら掃除するんだろうなぁ

「って訳で、部屋替え!!」

『私も混ぜてー』

「!!?」

「ああ、絢乃。やっぱりいたんだ」

『さっすが庄ちゃん』

天井を外して部屋に降りると、みんなは凄い驚いた顔

でも、やっぱり庄ちゃんにはバレてたんだぁ

「え、絢乃!? 混ぜてって…」

『部屋替えの話!!』

「絢乃バカなの?」

『兵ちゃん酷い!!』

真顔でバカなの?って…

兵ちゃんの言葉は胸に突き刺さるんだよね

『だって一人部屋、寂しいんだもん』

何故か私だけ入学当初から一人部屋だった

だからみんなみたいに同室がいるっていう事が羨ましいんだもん

「「ダメです」」

『うぅ…』

おかんな伊助ちゃんとおかん候補な乱ちゃん怖い

ダメなのかなぁ…

たまには誰かと寝たいんだけどなぁ

「よし!! 虎若の代わりに絢乃が俺の部屋ってどうだ?」

「「それ行けなめくじ(さん)!!」」

「それはヤメテー!!」

喜三太と金吾がなめさんを団蔵へ向かわせる

…最悪だなぁ

その光景を見て、カラクリコンビは喜三太と金吾を褒めている

「で、あれは置いといて」

『あ、置いとくんだ?』

「そりゃあね。絢乃は誰と一緒がいいの?」

同じ部屋で結構騒いでるのに相変わらず冷静な庄ちゃん

『んーとねー。私は誰でもいいんだ』

「そうなの?」

『うん』

だってみんな好きだし、と言えば横から三ちゃんが抱きついてきた

「絢乃いい子」

『へへ、ありがと』

三ちゃんは下手すると私より可愛いんだよねぇ

「絢乃、団蔵だけはやめとけ。あいつはけだものだ」

「虎若あぁ!!」

あらあら、筋肉バカな同室は喧嘩になっちゃった

「で、あれは置いといて」

『…2回目だね、庄ちゃん』

「どうする? あのバカ2人以外であみだでもする?」

『うんっ!!』

いつでも冷静な庄ちゃん

どこからともなく、筆と紙を取り出した

「じゃあ、ここに名前書いてね」

そう言って差し出された紙を見ると、引かれた線は12本

やっぱり、何だかんだ言って庄ちゃんは優しいなぁ

「はい、絢乃」

『ありがとう』

伊助ちゃんから渡された筆で、名前を書く

11人の中に名前を書ける、それがなんだか嬉しい

いつまでも、このままの関係でいたいなぁ


星に願いを、


あ、やった

うわっ、庄ちゃんずるい!!

何か仕組んだだろ!?

失敬な。何もしてないよ

良かったね絢乃。庄ちゃんなら安全だよ



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