Short Story

□闇に微笑む光となれ
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『流石私達ね。不運が2人もそろえばこうなるわ』

「絢乃、冷静に状況を分析しないでよ…」

なんか空しい…と泣き言のような事を言う数馬

保健委員長の数馬と、保健委員の私

2人とも、保健委員歴6年目突入

実は恋仲になってかれこれ2年半

そんな私達は、現在裏山の中

回りには、20人程の忍者

ただ薬の買い足しに行っただけなのに…

忍者に囲まれるなんて…

『流石不運委員会ねぇ』

「2回も言わないでよ…」

さて、どうするか

この人数相手に2人はキツいなぁ

『数馬、先に学園戻って』

「え?」

『満足に武器がない。私、体力に自信ないの』

数馬が戻って来るまでの足止めくらいは出来るからさ、と付け足す

「馬鹿、」

『なんだとぉ?』

「僕だって、もう6年だよ」

そう言って、私より一歩前に出る数馬

「口と目、閉じて。息、しないでね」

小声でそう言い、懐から取り出したのは霞扇

それを見計らったかのように背後から吹いてくる風

私は指示通りに口と目を閉じる

保健委員が使う霞扇なんて、危険過ぎるから

ばたり、ばたり、

人が倒れていく音が、いくつもする

保健委員会お手製の霞扇に敵う人がいたら、恐ろしいものね

「絢乃、」

柔らかく、私を呼ぶ声

『数馬、終わった??』

「うん」

『ごめんね? 役に立てなくて…』

少し悲しげな顔をした数馬

昔から、優しいところは一つも変わっていない

たとえ敵であろうとも、人が傷付くのを悲しむ

同じ保健委員でも、私はそんなに優しくない

「ううん。好きな子は、自分で守りたいから」

『!! ありがとう』

いつもの数馬なら言ってくれないような、直球な言葉

嬉しいなぁ

「さ、絢乃。帰ろうか」

『うん!!』

柔らかな笑みで言われれば、自然と私も笑ってしまう

こんな時に思うんだ

数馬となら、忍の世界に行っても笑っていられるんじゃないかなって

それが甘い事だとは分かってはいるけどね…


闇で微笑む光となれ
(貴方を目印に)
(私は闇に溺れないでいられる)














最近保健が好き過ぎて辛いです
もっと保健のサイトさんが増えればいいのに。。


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