Short Story

□私の騎士
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「何であんたなんかが、彼等と仲がいいのよ!?」

「そうよ!! あんたみたいに地味なのは引っ込んでなさい!!」

耳にタコが出来るほど聞いた言葉

幼い頃から聞いていたせいで、聞き飽きてしまった言葉

そんな言葉を、目の前にいる5人の女子から浴びせられる

彼女達が指す彼等とは、同じクラスの男子11人の事

初等部からずっと一緒のメンバーだ

昔からそうだったけど、とにかく皆顔が良い

一部性格悪いのもいるけど、ほとんどか性格も良い

そんな彼等を、回りの女子が放っておく事がある訳もなく…

今日みたいな事になるのだ

(引っ込んでなさいって言ってもねぇ…。仕方ないじゃない…)

何を隠そう、わたしはきり丸の双子の姉

姉弟なのだから、一緒にいてもおかしくはないでしょう?

色々な女子に妬まれながら育ったから、私は明るくない

基本静かで、何事にも傍観者でありたい

回りにいた女子が去ってしばらく考えていると、後ろから聞こえる音

誰かが、落ち葉を踏んだ音みたい

「絢乃?」

『きり丸…』

校舎の影から現れたのは、きり丸だった

切れ長の瞳に、綺麗な黒髪

本当に双子なのかと疑ってしまう

「また、らしいな」

『うん…』

「大丈夫か?」

『ん。慣れてる』

私の頭をぽんぽんと軽く叩く

私の方が姉なのにな…

「辛かったら言えよ」

いつも、そう

絶対に、きり丸は私の上にいる

私の方が上にいたい訳ではないけれど

何をやっても本当に双子なのかと疑ってしまう程、きり丸は凄い

それが憎たらしくて、羨ましくて…

「絢乃?」

『きり丸は、本当に私の弟?』

きょとん、と言う顔をして、すぐに怒ったような顔になった

私、気に障る事言っちゃったかな?

「本気で、そんな疑問持ってんのか?」

少し怒気を含んだその声に、図らずともビビる私

「俺の姉は絢乃だ!! 誰が何と言おうと、な」

同い年とは思えないくらい大人びた表情

姉と言う立場でなかったら、恋していたかもしれない

『ありがと、きり丸』

「おう」

でも、私が素直にお礼を言うと照れるところは、昔と一緒

『きり丸…』

校舎に戻ろうとしたきり丸の背中に呼び掛ける

『大好き』

振り向いたところにそう言うと、更に照れてしまったみたい

私に顔を見せまいと、また歩いて行ってしまった


私の騎士







きり丸ー、絢乃ー

兵太夫、三治郎。どうかしたのか?

また女子が5人捕まったよ

??

あ、絢乃は知らねぇのか

見る? 庄ちゃんがご立腹なんだよ

どういう事?

さっき絢乃に突っかかってた女子5人が、カラクリにはまったの

…そんな事やってたんだ

絢乃をいじめるたら、俺等が黙ってないって事

ありがと




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