Short Story

□一人占めの温もり
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『三郎』

「何だ?」

私と背中合わせに座っている絢乃

くのたまでもずば抜けた変わり者

そんな絢乃は、私の恋仲の相手

『三郎はどうしてろ組なの?』

「は?」

突拍子もない絢乃の疑問はいつもの事だが、今回もまた不思議だ

『だって、三郎は優秀じゃない。座学も、実技も』

「で?」

『何でそんな優秀な三郎が、い組じゃないのかなって』

背中から伝わる温かさが消え、絢乃は私の正面に回り込む

「それは、不破雷蔵あるところ鉢屋三郎あり、だからだろ」

『じゃ、雷蔵もい組だったら、三郎もい組だった?』

絢乃は、返事が難しいような事をサラッと聞いてくる

そこが絢乃の恐ろしいところ

何気に、変なところで頭の回転が速い

そこが愛しいのだけれど…

「絢乃もい組なら考えるな」

『どう言う事??』

「絢乃もい組じゃないと一緒にいられないだろ」

違う組だと、合同授業が少ないじゃないか、と付け足す

珍しく、絢乃の面食らった顔

『三郎』

「何だ?」

『大好き』

「ああ」

ふわり、と抱き着いてきた絢乃を抱き締め返す

背中から伝わる温もりより、抱き締めた時の方が温かい

この温もりは、誰にも渡さないさ…


一人占めの温もり



…ハチ、どうしよう

三郎、絢乃には甘いよな

僕、そろそろ寒いんだけど

ん? 俺に抱き着くか?

え、何。ハチ、死にたいの?

ごめんなさい…








部屋の中に入れない雷蔵とハチ
三郎は二人に見せ付けて楽しんでます
主にハチをいじめるため←
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