Short Story

□カラクリ小僧と抜け師娘
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「あ、兵太夫に三次郎!!」

縁側でカラクリの図面を広げている2人に声をかける伊助

「伊助、どうしたの?」

三次郎の問いに、伊助は笑顔で答える

「あっちのカラクリ、絢乃に解除されてたよ?」

あっち、と伊助が指指したのはくのたま長屋から食堂の間

対絢乃用に作られた、壮大なカラクリがあった場所

壮大な、とは言っても地下にあるので地上からは見えないのだが

『兵ちゃん、三ちゃん!!』

ふいに、屋根の上からする声

「お、絢乃」

名前を呼ばれていない伊助が反応する

一方の兵太夫と三次郎は、苦虫を噛み潰したような顔

「絢乃がカラクリ解除するから、2人がこんな顔してるよ?」

伊助は楽しげに笑う

『だって、あれは私のために作られたんでしょ?? 解除して当たり前じゃん!!』

こう言ってのける絢乃は、くのたまで唯一カラクリの解除が出来る

異様な手先の器用さで、1年の頃からカラクリ解除をしていた

そのお陰で、カラクリをするりと抜けてしまうところから"抜け師"の名を持つようになった

「S次郎さん」

「何ですか、S山さん」

にこにことしている絢乃とは反対に、どんどん黒いものを背負っていく2人

「次はもっと難しいのでいこうか」

「そうだね。僕達も、やられてばかりじゃ気がすまないからねぇ」

S点に火が付いてしまったようで、2人は新たな対絢乃用カラクリを仕掛けに行った

兵太夫と三次郎が絢乃に抱く思いは何かについて考えるのは、また別のお話…


カラクリ小僧と抜け師娘


絢乃はさ、

なぁに、伊助ちゃん??

2人のこと、好きなの?

ん? 好きだよ?

恋愛として?

ん〜? 伊助ちゃんはどう思うの??

絢乃って、凄いよね…






伊助が絢乃に凄いと思うのは、よくやるよな、って意味です
実は抜け師娘ちゃんはちょこちょこ怪我してます
でも兵太夫と三次郎には隠してカラクリ解除しまくってるんです


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