Short Story

□例え傷だらけになろうとも
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『庄ちゃん』

「ああ」

学園長先生のお使いの帰り道

近道と言って森の中を進んでいる時に異変を感じた私

一緒にいる庄ちゃんも同様のようで、辺りの気配を伺っている

私と庄ちゃんは背中合わせになり、敵を見る

ざっと数えて20〜30人程度

このくらいなら、忍術学園最高学年である私達には軽い

『早く終わらせて、学園に帰ろう?』

「ああ。無茶はするなよ」

昔から優しいところは変わらない庄ちゃん

ヒュン、と空を切り飛んできた手裏剣をクナイでかわす

と同時に、何人かが懐に入ってくる

腹を蹴り1人を吹き飛ばす

辺りからは、私と庄ちゃんが敵を倒す音

それと、倒された敵の「ぐっ」と言う低い声

私達を中心として円形に囲んでいた敵はあっという間に減っていく

「これで最後だ」

庄ちゃんの相変わらず冷静な声

最後の1人も、呆気なく倒してしまった庄ちゃん

「絢乃?」

庄ちゃんはそう言って、私の方を見る

庄ちゃんの顔は返り血で赤くなっている

『庄ちゃん、真っ赤だよ』

「絢乃、顔…。体も…」

私の言葉には答えずに、手の甲で私の頬に触れた

『あ…。切れてた??』

頷く庄ちゃんの顔は険しい

昔から私はそうなのだが、6年になった今でも変わらない

私は戦っている時は、形振り構わない

だから戦い終わったあと、体の傷が目立つ

「ほんと、変わらないよな。絢乃は…」

険しかった顔を、少し悲しげな顔にする

『もう、今さら無理だよ。でも大したことないし!!』

私が胸を張って答えると、頭をペシンと叩かれた

「絢乃は女なんだから。少しは気にしてよ…」

呆れた感じではあるが、穏やかに笑ってくれた

『そうねぇ。気が向いたらね!!』

女だからと言って一々傷を気にしてたら戦えない

それでも庄ちゃんは私が傷を作るのを気にするんだ

でも、私は庄ちゃんと一緒にいるためには強くないといけない気がする

庄ちゃんは優秀な忍者になるだろうから…

私も優秀なくの一でないと釣り合わない

私のそんな考えを悟ったのか、庄ちゃんは私の頭を叩いた

今度は、優しくポンポンと

「さ、学園に帰ろう」

そう言う庄ちゃんの後に着いて、学園に帰る

私は、いつまで貴方の隣にいられるのかな…?


例え傷だらけになろうとも



あ、え!? 庄ちゃん??

なに?

手、繋ぐの…?

嫌?

嫌じゃないよ!! 寧ろ…

寧ろ?

嬉しい、です///


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