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□本性を隠した優しい先輩
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「時雨!! 今日はマラソンでいいか??」

小さな子供みたいなきらきらした瞳で私に近づいてくる小平太

小平太は、昔っから純粋なままだなぁ

『うん、いいよぉ』

「そうか!! じゃあ、滝夜叉丸に言ってくるな!!」

私の返事を聞いた途端に走り出す

また滝ちゃんの苦労が増えちゃうなぁ〜

私は体育委員会委員長、六年ろ組楠木時雨

体育委員六年目になるなぁ

「時雨先輩っ!!」

『あら、滝ちゃん』

少し怒ったような顔をして、ズカズカと私に歩み寄って来る

「七松先輩を止めて下さいよ!!」

『いいじゃない、マラソン。体育委員会なんて、他にやる事もないんだから』

「しかしですねぇ!! もっと後輩の事も考えて…」

「滝夜叉丸!! 行くぞ!!」

「あっ、七松先輩!! 待って下さいよ…!!」

いけいけどんどーん、と叫びながら裏山に向かっていく小平太

それを追う滝ちゃん

別に、小平太なら放っておいても大丈夫なのに

「あの、時雨先輩…?」

『なぁに?』

制服の裾を引っ張ってくるシロちゃん

傍らには、少し疲れた顔の金吾

「どさくさに紛れて、次屋先輩が行方不明に…!!」

『そっかぁ…。じゃあ、残された私達で探しに行こう?』

「「はいっ!!」」

ぱぁっ、と顔を輝かせるシロちゃんと金吾

今日の委員会活動は、三之助探しになるなぁ


本性を隠した優しい先輩
(だってまだ金吾が来てすぐだし)
(そのうち本性が現れるよ)



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