お題

□あの夢の続きを、君と。
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※不破雷蔵/現代





落ち込んだ日や、悲しい出来事があった日

決まって私はその夢を見る

いつからだったかは分からない

いつのまにか見るようになっていたその夢は、いつでも私を安心させてくれた

何気ない一日のようだけど、そんな一日さえ尊かったあの時代

きっとその夢は、私の前世なのだと思う

またあの夢を見た

それは多分、今日から高校2年生という再スタートを切るから

クラス変えで不安を抱えながら眠りについた

夢の中の彼、雷蔵は微笑んでいた

柔らかく、何でも包み込めてしまうような雷蔵の優しさ

同じ委員会だったこともあって、異性としては一番仲が良かった

そんな夢を見た翌朝のこと

クラス発表を掲示板で確認して、教室に向かう

目指すは2年6組

教室のドアを開けると、見知った顔がちらほら

席に着くと、右から感じる謎の視線

ふっと隣を見た瞬間、涙が出そうになった

「久しぶり、絢歌」

『らい、ぞう……?』

いつも夢の中では、聞こえそうなのに聞こえない言葉

雷蔵が私の名を呼ぶ声

でも、今はちゃんと聞こえる

「また、一緒にいられるね」

『うん…っ』

夢の中では届きそうで届かなかった雷蔵に、今は簡単に触れられる

また新たな一歩が踏み出せそう、そんな気がした


あの夢の続きを、きみと。








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