お題

□僕と噂になりますか
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「あれ? 絢歌?」

『尾浜君、』

放課後の教室

校庭は運動部が部活をやっているから賑やか

だけど、教室のある校舎には部室がないから静かな教室

「ごめん、何か仕事残ってた?」

『あ、違うの。学級委員の方じゃなくて、日直の…』

「ああ、なるほど」

私と尾浜君は、このクラスの学級委員

男女1人ずつで、私と尾浜君でやっている

私が今ここにいるのは、学級日誌がまだだったから

読み返してると、面白いんだよね

「学級日誌、面白い?」

『うん。前回自分が書いたとこから、昨日までの見てたの』

例えばね、と久々知君のページを開く

そこには、綺麗な字で綴られたその日の出来事

それと、美味しいお豆腐屋さんの情報

「あははっ、兵助らしいなぁ」

『うん。久々知君て、結構面白い人だよね』

私の正面の席に座る尾浜君と、学級日誌を眺める

4月からこの学級日誌を使っていて、もうすぐ1年が経とうとしている

『よし、』

「職員室に届け行く?」

『うん。出してくる』

「じゃあ俺、玄関で待ってる」

『へ?』

どうして尾浜君が、私を待つの?

あれ、そう言えば何で部活やってない尾浜君がここにいるの?

「一緒に帰ろうよ」

『…何故?』

「俺がそうしたいから」

笑顔できっぱり言い切った尾浜君

でも、尾浜君は分かってない

『ダメだよ。尾浜君、女子に人気あるの分かってる?』

そうだよ、尾浜君はクラスでも人気な人

明るいし、勉強出来るし、男女共に誰にでも優しいし

そんな人を放っておく訳ないでしょう?

「でも、俺は一緒に帰りたい」

ぷくぅ、と膨らむ頬

男子高校生とは思えないほどに可愛い

『変な噂立てられちゃうよ?』

「絢歌は、俺と噂になるの嫌?」

ずるい、その聞き方

きっと、尾浜君と私は学級委員じゃなければ話す事なんて出来なかった

尾浜君はクラスの中心にいる人

私は穏やかにクラスに存在したい

だから、女子を敵に回すようなことはしたくない

『嫌じゃ、ない』

「ならいいじゃん!!」

ああ、その笑顔

私はその笑顔に弱いんだ


僕と噂になりますか


尾浜君…

あ、絢歌。おはよー

やっぱり噂になっちゃったじゃん…

うわー、女子怖いー

もう…。付き合ってるの?って何度聞かれたことか…

絢歌、好きだよ

この流れで!?

返事は?

え、あ、はい

やったぁ、正式カップルー!!









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