お題

□初恋は実らせない
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「なー、絢歌ー」

『んー?』

「好きな人いるか?」

『は…?』

図書室で勉強中

私の向かい側に座るハチの問い

私語厳禁な図書室で、何を言ってるのかなぁ

委員長がいたら怒られるよ?

『仮に私に好きな人がいたとして、そしたらハチはどうするの?』

「どうすると思う?」

ニヤリ、と三郎みたいに笑う

珍しい、ハチのそんな顔

でも、ハチには似合わない

『ハチのクセに、ムカつく』

「えー、何だよそれ」

口を尖らせて言う

うん、そっちの方がハチらしい

『初恋は、長次君』

「なにぃ!?」

『うるさい』

貸し出しカウンターにいるのは中等部の能勢君

高等部と中等部が同じ図書室なんて、中等部の図書委員は少し可哀想よね

雷蔵や長次君なら、絶対ハチは追い出されてたのに

「中在家先輩か…。全くタイプが違うな…」

『ハチのばーか』

ぶつぶつ言っているハチに言い、私は勉強再開

ハチ、勉強しなくていいのかなぁ

来週全国模試なのに

「よし、やってやる!!」

『何を? 勉強?』

「んな訳ねぇだろ」

びし、と私を指差して、偉そうに座るハチ

「中在家先輩から、お前を奪う!!」

『…ふーん』

「ちょ、ふーんて…」

ほんと、ハチはばか

初恋なんて、とうの昔に終わってるもん

今私が好きなのは、ハチなのにねぇ


初恋は実らせない


ねー、絢歌。ハチのどこが好きなの?

あ、勘ちゃん

絢歌がハチ好きなんて、意外だなぁ

バカなところ。あと、明るいとこ

ははっ、絢歌らしいや

ありがと










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