お題

□この熱は消えぬまま
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「本当に行くのか?」

『当たり前でしょ。前から言ってたじゃない』

何度も念を押して聞いてくる虎若

でも、私は決めたことは曲げない主義だから

『たった1年イギリスに留学するだけだよ?』

「分かってる、けどさ…」

体の大きな虎若が、不安げな顔でしゅんとしている

こんな虎若滅多に見られないから、ちゃんと見ておかないと

「だって、イギリスで俺より格好良い男がいたらどうするんだ?」

『虎若より格好良い男なんて、そうそういないよ』

「それでも、いたら?」

虎若が心配するのも、分からなくはない

1年なんて、人の気持ちを動かすには十分過ぎる時間だから

『虎若が何と言おうと、私は気持ちが変わらない自信あるよ』

「…絢歌は、強いな」

『そんなことないよ』

そう言って、虎若に抱き着く

伝わってくる温もりが、心地好い

『大丈夫。私を信じて?』

「分かった」

私の頭をぽんぽんと撫でる虎若

先程の不安げな顔とはうって変わって、今は清々しい表情

「元気でな」

『うん。行って来る!!』

笑顔で見送ってくれる虎若

1年後、また貴方に会えるのが楽しみよ


この熱は消えぬまま
(どこまでも持っていくわ)


絢歌ー、次いつ帰って来る?

あれ? 兵太夫?

そう。絢歌欠乏症の虎若がうざったい

あー…、ごめん。あと5ヶ月は帰らない…

はぁ? 今2月じゃん

うん。夏まで頑張って

しょうがないな。僕と三ちゃんのカラクリスペシャルの餌食にでもするか

うわぁー…







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