お題

□冷たい手でもいいよ
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「うっわ!! 絢歌手ぇ冷たっ!!」

うっわ!!って団蔵に叫ばれちゃった

叫ぶほどじゃないと思うんだけどなぁ

『そんなに?? 団蔵が暖か過ぎると思うよ??』

「絢歌、手貸して」

『兵太夫、』

団蔵の叫び声に、クラスの皆がわらわら寄って来る

その中で、兵太夫が私の手を掴んだ

「極寒」

『人の手を握った感想がソレですか…』

真顔で極寒とは…

また随分と斬新な感想だわ

「絢歌、ちゃんと体冷やさないようにしてる?」

『してるよー!! ちゃんと生姜とかも食べてるんだよ!!』

お母さんな伊助

最近はまめに料理に生姜を使うようにしている

一向に効き目が見られないのだけれど

『…私こんな手だからさぁ』

「??」

今クラスにいる10人の瞳が、私を捉える

『金吾と手、繋いだ事ないんだよね…』

「「ちょっと金吾殴ってくる」」

『ええっ!? ダメだよ!!』

物騒な発言をして立ち上がったのが団蔵と虎若

無言で立ち上がったのは、兵太夫・きりちゃん・伊助・乱太郎

まさか伊助と乱太郎が立ち上がるとは思わなかったな…

「女の子にそんな気を遣わせるとかあり得ない」

「そうだね。殴られても文句は言えないよねぇ」

女の子に優しい伊助と乱太郎だから、私のために怒ってくれてるみたい

でも、流石の金吾でもそんな大人数に殴られたら大変な事になっちゃう

「絢歌、毎日金吾と一緒に帰ってるよね?」

『うん。時友先輩が気を遣ってくれてるみたいで』

「なのに、手を繋がないの?」

『そう…、なんだけど…』

庄ちゃんの冷静さって、時々怖いと思うんだ

なんか、こう…

心の中まで覗かれそうで

「よし、団蔵」

「何?」

「今日、絢歌と手繋いで帰っていいよ」

『ちょっ、庄ちゃん!?』

いきなり何を言い出すのでしょうか…

「よっし、まかせろ!!」

『何でそんなにやる気なの!?』

盛り上がっていくみんな

みんな、金吾苛めるの好きだよぇ…

「絢歌はさ〜」

『喜三太??』

「金吾に手繋ぎたいって言った?」

『? 言ってないよ』

私の言葉に、はにゃ〜、と眉を下げる喜三太

「金吾は、すっごい恥ずかしがり屋さんだからね〜。おまけに、金吾も手、冷たいんだよね〜」

『そうなの?』

「金吾も、自分の手が冷たいのを気にしてるんじゃないかなぁ? でも、きっと金吾は絢歌と手、繋ぎたがってると思うな〜」

『そうかな…』

じゃあ、私が積極的になってみようかな

まずは一言、


冷たい手でもいいよ










あるぇ…?
途中から頭の中の話と変わっちゃった…
とりあえず次はおまけです



わ、金吾の手冷たい

絢歌も冷たいよ…

手が冷たい人って、心が温かいって言うよね

あー…。確かに

金吾は心が温かいんだねぇ

絢歌だって手冷たいから、心が温かいんじゃないの?

そうかなぁ?

絢歌は、温かい心持ってるよ

ふふ。ありがと、金吾



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