お題

□きらめきに誘われて
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(うっわぁ…)

心の中で叫ぶ

駅から一歩外に出れば、辺りは真っ白

駅前にそびえ立つクリスマスツリーが、きらきらと輝いている

今日はクリスマスイブで、これから一晩を共にしようとするカップルが目立つ

(私には、いないけどね…)

生憎、今まで生きてた間、私に恋人などいたことがない

(いつまでも、昔の恋を引きずり過ぎなのよね)

私には、前世の記憶がある

忍のたまごとして学んでいた、遠い昔

あの頃恋仲であった友人が、今でも忘れられない

私に記憶があるのだから、彼にも記憶があるのではないか

そんな淡い期待を抱いて、今まで恋をしなかった

いや、出来ないのかもしれない

きっと、私は彼にしか恋が出来ないの

暗い心の私にも、きらきらと綺麗に見えるクリスマスツリー

残酷なくらい綺麗で、目頭が熱くなる

こんな時、彼が傍にいてくれたらいいのに



「絢歌、」



ふいに聞こえる、懐かしい声

振り向くと、ふわりと微笑む彼――二郭伊助

『久しぶりだね』

「そうだね」

『どうして、私だって分かったの?』

「ふらふらってツリーに近づいて来たら、後ろ姿が見えて。人目で絢歌だって分かったよ」

そう言いながら、私に近付いて来る伊助

「僕が絢歌を見間違えるはず、ないでしょ?」

懐かしい、その笑み

淡い期待が、現実になった

『クリスマスって、すごいね』

「だね。このツリーに感謝しないと」


きらめきに誘われて
(恋い焦がれていたあの人に、
再会を果たすの)








転生のお話
伊助は大川学園の高校1年で、夢主はちょっと遠めの公立高校
色々サイドストーリーもあるので、そのうち続きを書くかもです

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