お題

□最強の家庭教師
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「で、結局別れなかった訳か…」

『そう。雷蔵って良い事言うよね!!』

私がやった数学の問題の答え合わせをしている兵助

時々しかめっ面になるのは気のせいだと思いたい

「絢歌…」

『何??』

「アホ」

バッと答え合わせの終わったノートを私に見せてくる

8割くらいは合ってるよ?

「詰めが甘い。ケアレスミス多すぎ」

しかめっ面の原因はそれか!!

『んーと…。あ、足し算ミスってる』

足し算に引き算、掛け算に割り算…

基本的な事―算数の範囲ばかり間違えている

「絢歌は本当に算数ダメだよな」

『だって私文系だし』

「文系でも算数は出来ないとだろ」

『文系理系どっちも出来る兵助には分かんないよ〜』

昔からそうだった

兵助は要領が良い

何事も私と同じ量で、私の何倍もこなしてしまう

勉強も例外ではなく…

学年1位の座に君臨し続けている

『何でそんな出来の良い人間が私の幼馴染みなのよー』

「文句あるのか?」

片手に豆腐が待ち受けの携帯

ホントおかしいよ、この人

『私、皆と同じ高校行けるのかな…』

元々無理があるんだ

皆で同じ高校に行くなんて

『兵助、勘ちゃん、三郎は余裕でしょ。雷蔵も多分大丈夫』

雷蔵は何だかんだ本気でやれば出来る子だからなぁ…

『でも、私とハチはね…』

コロコロと転がるシャーペン

向かう先は兵助

「何弱気になってんの?」

パタン、と携帯を閉じた兵助

視線はちゃんと私の方に向いている

「俺を誰だと思ってるんだ?」

自信に満ちた顔

そりゃそうか、学年1位の男だもんね

「俺がお前を合格させてやるよ」

信じられないよ、その自信
私にも分けて欲しいくらい

『よろしくお願いします?』

「疑問系にするなよ…。ま、続きやるぞ」


最強の家庭教師


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