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□ほら正直になってみてよ*
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土曜の昼、友達から借りたDVDを持って行きなれたマンションに入った。
インターフォンを押すと呼び出しが鳴るけど中から人は出てこない。
こーゆー時家主は必ず居る。
再度鳴らしながら「かっざまくぅ〜ん」と呼びかけインターフォンの連弾しても相手は出ない。
「も〜シャイなんだからぁ…そだ、お隣さんにでも風間くんのシャイっぷりをお話しに行こうかなぁ」
なんてぼやいて相手を思い浮かべていると、中から掛けてくる音と共に玄関が開いた。
単純で本当に可愛い彼に笑顔で手を挙げた。
「しんのすけっ!インターフォン鳴らしても出ないならとっとと帰れよ!!」
「え〜風間くん居るのに帰ったりしないよぉ。お邪魔しま〜す」
靴をぽんぽんと脱ぎ捨てて、細身の風間くんの身体の隙間から上がり込み、何度も来たことがある部屋に入った。
後ろで俺を呼ぶ怒った声が聞こえるけど気付かない振りをしながら、風間くんの匂いがするベッドに身体を沈める。
「しんのすけっ!」
バンっと部屋に入ってきた風間くんにちょいちょいと手招きすると、眉間に皺を寄せたまま近づいてくる。
こーゆー所も可愛くてたまらない。中3の今は周りが受験一色でぼーちゃんもまさおくんもねねちゃんも勉強ばっかりで、小中高もちあがりの風間くんだけ受験とは無関係だから俺は入り浸る。
「お前受験生だろ?勉強しろよ」
「今の頭で行けるとこ行くから大丈夫」
「大丈夫じゃないだろ…」
はぁっとため息を吐く風間くんに笑顔だけで応えると、二度目のため息を吐かれた。
俺は頭が良い方じゃないけど、すこぶる悪いって訳でもないから高校さえ選ばなきゃ入れるところはある。
「風間くんと同じ高校なら考えたけど……偏差値高すぎて無理なんだもん」
「僕の高校に来ようとするなよ!将来の夢とか、あるだろ色々っ」
「夢…風間くんのお嫁さっぃたぁ〜ひどいわっぶつなんて!」
「お前が気色悪い事言うからだろ!僕はまじめに聞いてるんだよ。たくっぼーちゃん達はちゃんと勉強してるのに……」
あーあって嘆かれても困ってしまう。だって、今が一番風間くんを独り占め出来る時なのに…
呆れた顔の横顔を眺めていると、ふと唇に目線が移って吸い寄せられた。
ちゅっと軽く口付けても抵抗されなくなったそれは幼稚園からの賜物だけど、リアクションが帰ってこなくなったのは少し寂しい。
怪訝な顔がこっちを向いた後口元をぐいっと拭かれて俺は頬を膨らませた。
「何だよその顔。大体もう高校生になるんだからそれやめろよな!恥ずかしいだろ」
最初は抵抗する風間くんがおもしろくてやっていたけど今は違う。
自分でも吃驚する位複雑で単純な思い。それに全く気付いてくれない風間くんのつれなさが胸に突き刺さる。
「あっ!風間くんDVD持ってきたんだよ、一緒にみよう」
「は?何だよ急に…見たきゃ一人で見ればいいだろ」
「だめだめ、一人で見てもつまんないもん」
言いながらDVDを取り出してパッケージを見せると、風間くんの顔が朱色に染まる。
明らかに動揺している風間くんが可愛くて抱きつきたい気持ちになった。
「し、しんのすけっ…何でそんなもの持ってるんだよ!」
「友達から借りたんだよ?風間くんも興味あるでしょ?さっ、見よーね」
風間くんから抵抗を受ける前にベッドから降りてディスクを取り出そうとした時、ディスクを風間くんに取り上げられた。
「僕たちの年じゃいけない事だろ」
「相変わらずお堅いなぁ……俺たちの年で見てない奴の方が珍しいと思うよ?」
「こんなもの見るのお前の周りだけだ」
風間くんから取り上げられたディスクを取り返そうと腕を伸ばすと、更に遠くへ反らされて、その身体のまま追いかけた。
同時にあっと声を漏らした瞬間身体が傾き、風間くんはお尻を、俺は風間くんにぶつかってしまった。
「ぃたー…どけよ、しんのすけ」
覆い被さった俺の下で身体を捩り打ち付けた場所をさすろうとしている風間くんにドキリとする。
二人して取り合いをしていたディスクは転がって少し遠くに投げ出されたのに、それよりも自分の真下に居る風間くんから目が逸らせなかった。
「しんのすけどけったら!」
風間くんの言葉に頷けない。押し返そうとする腕を掴んで床に押さえつけると、整った眉根を寄せて睨んでくる。
目でも退けと訴えられているけどとても聞けそうにはなかった。
高鳴る鼓動と本能が組み敷いた体制の俺からたがを外そうとする。
俺を仰ぎ見る風間くんに顔を近づけると逸らされたけど、目的は違うんだよと思いながらこっちに向いた耳をぺろりと舐めた。
びくっと分かりやすい反応をする風間くんの顔が真っ赤に染まり、何度も繰り返すと固く閉じた唇から「やめろよ」と言うか細い声が聞こえてきて下半身が熱くなる。
「ごめん、やめてあげられない」
耳元で囁くとそれだけで身体を震わせる風間くんの他の場所にも触れたくなって、服の中に身体を潜り込ませた。
外れた腕で肩を押されるが、下からの力より上回る俺の身体の方は僅かにしか動かず、胸の突起を抓りながら首筋に舌を這わせた。
「んっ」
風間くんの口から小さく漏れた声にぞくっと背中に愉悦が走る。
ぐっと下半身を風間くんの身体に押しつけながら服を捲りいつもは隠れている鎖骨や胸に紅い痕をちらつかせていく。
「や、やめろっしんのすけ!」
身体を捩ろうとする風間くんのズボンの前を開いてパンツの中に手を忍ばせた。
いっそ激しくなった抵抗に僅かに身体を離すと、此方を向いていた身体がくるりと回転して背中が見える。
前へ伸ばした手で拘束して一度は離してしまった陰茎にもう片方の手を絡めた。
両手で引き剥がされる前に亀頭部分を擦り、身体を密着させた。
「ぁ…」
下肢を震わせる風間くんの動きに、俺の陰茎が刺激を受けて更に硬度を増した。
どうしよう………ホントに止まらない。
陰茎をいじる俺の手の動きで硬さを増していく風間くんのから水音が聞こえ始めた。
感じてくれてるんだね。なんて思いながら身体を拘束していた手で胸の突起をいじりながら耳の後ろをぴちゃっと舐めると、身体を震わせて一際大きい嬌声が聞こえた。
「気持ちいい?」
「っな、訳…ないだろっ…離せ、よ……」
絞り出す様な声が嘘を吐いているんだとわかるけど、あえて指摘せずに首筋を舐めあげた。
快感に震わせる風間くんのしとしとに濡れた陰茎を擦りあげながら煽っていく。
「あっ…やだっっ」
びくびくと大きく震わせた腰と同時に、自分の手が生温かい液で汚れたのを感じた。
大きく呼吸を繰り返しながら俯く風間くんに俺も煽られる。
風間くんの精液で濡れた手を更に奥に潜り込ませると、見つけた後孔を指で撫でた。
「やめろって!!」
「風間くんだけなんて不公平じゃん」
「しんのすけが勝手にやったんだろっ!もう離せよ!」
「え〜気持ちよかったでしょ?」
「そんな訳っ…」
指を後孔にくいっと入れ込むと言葉を詰めて俯き、俺の腕を掴む手に爪を立ててきた。
食い込んだそこから痛みが走るけど、今やめたら次いつこんな状況になれるか分からないから中をいじる指を止めなかった。
ぐぐっと中に押し込みかき回した。
ぷくりと膨れた部分を擦った瞬間、背中を大きく反らす風間くんの口から嬌声が飛び出してここだと思いながら執拗にそこを攻めた。
単発的に身体を震わせるその姿に固唾を呑んだ。
「もっ、やめろ…んっあ」
「……ごめんね」
俺の手で乱れていく風間くんの中に入れてかき回したい。もっと乱れた姿を見たい。
思いながら風間くんの中に入れていた指を抜くと、床にうつ伏せで押し倒しズボンを脱がせた。
「いやだっ!やめろしんのすけっ!!」
俺の前に晒される形のいいお尻に顔を埋めて割れ目の始まりから舌で後孔を目指すようになぞった。
「ぅあ…ゃだあ」
口ではイヤだと言い続ける風間くんも諦めたのか抵抗が殆どなくなって、精液で苦味を増した孔を舐め舌を中に差し込んだ。
ぴちゃぴちゃといやらしい音が室内に響き、俺も窮屈になった前を解放した。
一旦舌を口から離すと取り出した自分の陰茎を風間くんの後孔にぴたりとひっつけた。
ヒクつく孔の動きを亀頭部分で感じて、早くなる脈と更に熱を集中させた陰茎を中に納めようと腰を進めた。
「んっく…しんのすけっ!!」
振り返った風間くんの潤んだ瞳を見て気持ちに拍車が掛かる。
ごめんと思う気持ちを上回る中に入りたいという衝動が俺の腰を押し進めていく。
「った…痛い!何、入れてんだよっ」
「だって…止ま、らない」
「抜けっこのバカ!」
前に逃げようとする風間くんの腰を掴んで、雁の部分を強引にねじ込んだ。
「あ、ぁああ……」
一番大きなそこが納まると、簡単に根本まで風間くんの中に入った。
温かい中は誘うようにうごめき、息を詰める風間くんに合わせて締め付けられる。
しっかり結合したそこは、動かす度にぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てて風間くんの声に混ざった。
「か、ざまく、んっ」
「あっ…ゃ、だってばぁあ!」
「ぅ…イクっ」
出したい衝動のまま腰の動きを速めて、奥に叩きつけるように白濁を放った。
「あっ、あっ…」
仰け反らせて感じている風間くんの色付いた背中に唇を寄せて吸いつき、濃い紅を残す。
でも未だに身体から熱は引かなくて、俺はどれだけこうなる事を望んでいたんだろうと頭の片隅で思った。
四つん這いの体制だった風間くんの上体を起こして顎に手をあてると此方を向かせる。
「ふ、かっ」
「かざまくん…」
涙と涎に濡れた顔の風間くんの虚ろな目が遠くを見ている。
「すきだよ」
告げて、涎を舐めとりながら薄く開いた唇に吸いついた。
中に滑り込ませた舌で見つけた舌を絡めると、応える様に動かされたその舌に夢中で貪った。
一度ずるりと抜いた陰茎は外気にさらされてヒンヤリする。
「んんっ」
抜いた時に腰を震わせた風間くんの口からくぐもった声が聞こえて、もともと引いて無かった下肢の熱がまたじくじくと反応を始めた。
長いキスをしながら正面に向いた風間くんの後孔に再び自分の陰茎を押し当て、解れたそこに埋め込んでいく。
「んぁっ!も、やめ、ろっって」
「だって、風間くんが煽るからっ」
「そんな事してなっ、ぃああーー」
手で引き剥がされた口からは拒否の言葉、でも中に入っていく俺の陰茎はヒクつく中に誘われている様に感じていた。
ずしんと深く差しこんだ陰茎から、じわりじわりと温かさが伝わってきてまた引っかき回したい衝動と愉悦が背筋を掛け昇る。
「風間くん、好き…大好きだよ」
「こ、のっばかぁあー」
「うん。そ、だね…」
変わらず悪態吐く言葉に思わず笑ってその唇を啄むと、ゆっくりと回された腕に暖かさに気持ちが高ぶる。
荒くなる息使いと水音、風間くんの口から零れる嬌声を聞きながら二度目の精を中に放った。
テレビを付けた部屋で先にシャワーを浴びた俺は服を着込み、クリアになった頭で先程の事を思い返していた。
怒ってるよね?絶対。
行為が終わった後の風間くんのしんどそうな姿に気持ちがしょげる。
かちゃりと開いたドアに目線を向けると、俺には目も合わせず通り過ぎベッドに身体を預ける風間くんがしんどそうに吐く息にドキッとした。
「ごめん。ね…」
ベッドに顎を乗せてじっと見つめる風間くんが俺の声にぴくっと反応する。
ぎろりと睨まれて、困ったように笑うと軽く頭を叩かれた。
「お前、他に言う事があるだろう?」
「え?なに?」
掠れた声にドキドキしながら叩かれた頭を押さえて、言われた言葉の意味を聞き返した。
俺の反応に溜息を吐く風間くんが分らなくてよじよじとベッドを上り、正座をして寝転がる風間くんを見下ろした。
「分らないなら良い…もう帰れよ」
「え?教えて?俺風間くんより頭悪いんだから分らないよ」
「だから分からないなら良いって言ってんだろ…一人になりたいからあれ持って帰れよ」
言われて指差された所には転がったディスクがあった。
そう言えば…しまう事すら忘れていたディスクに「あっ」と声を漏らしてそれを回収し小さなテーブルの上に置いた。
ちらりと目線を風間くんの方に向けると、ふいっと逸らされた目線に俺の事を見ていたんだともう一度ベッドに上がり、寝転がる風間くんに抱きついた。
無言で嫌そうに手で払いのける仕草をする風間くんに笑いながら更に抱きついた。
「うっとおしい」
「え〜そんな事言わないでよ。俺はもっと風間くんとイチャイチャしたい」
「…馬鹿じゃないのか?もっとする事あるだろう」
「ん〜あれだけじゃ足りなかった?」
「っ…」
耳まで真っ赤に染まった風間くんを可愛いと思って、こめかみにキスを落とすと潤んだ瞳が俺を睨んだ。
「お前本当に信じられないよ!普通あんな事するか?しかも男にっっ!!」
「だって…俺、風間くんの事好きなんだもん……ずっとずっと我慢してたけど、自分の下に居る風間くん見てたらなんか堪んなくて…」
「す、すき…って」
「好き!風間くんの事ずっと好きだったの…あーゆーの見ても女の人を風間くんに置き換えちゃうくらい!!」
ぎゅっと抱きついていたら思いっきり頭を叩かれて思わず身体を離して頭を押さえた。
がばっと起きた風間くんが腰を押さえよろめいたのを振動で感じて顔をあげるとまた睨まれた。
「こんな事する前に言えよ馬鹿しんのすけっ!!」
「え?」
「強姦紛いの事しやがって…先に言ってくれたら僕だって……」
「か、風間くん……」
「何だよっ」
「風間くん!!」
がばっと抱きついた拍子に風間くんの背中が壁にぶつかって慌てて離れた。
「ごめっ「お前のその勢いが怖いんだよ!」
怪訝な表情のまま悪態を吐くけど、その顔は紅く染まっていて「好き」と呟いたその唇でそっと目の前にある唇を覆った。
おわり