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□おままごと
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「リアルおままごとしましょ」

それはネネちゃんのいつものセリフだった。

「今日はいつもと違うわよ〜」

その笑顔が何故か怖くて逃げようとしたが勿論無駄で、全員参加は当たり前だった。

「風間くんがツンデレな奥様でぇしんちゃんがそんな奥さんを大好きな旦那さんでしょお〜私が二人に呆れる長女でマサオ君がイチャイチャする二人を止めようとする弟でボーちゃんが奥さんが好きな隣に住む学生ね」
「僕イヤだよ!」
「何か言った?風間くん?」
「…………何もいってない」
「そ?じゃあ始めましょ!」

あからさまに嫌そうにする風間くんが面白くてノリノリで始めた。

「トオルちゃ〜んおかえりぃ」
「ただいまだろ!離れろしんのすけっ!」
「いやぁ〜ん。オラ達夫婦なんだぞ!お帰りのちゅー」

風間くんに抱き付きながら唇を突き出してぶちゅとくっ付ければ、真っ赤な顔で必死に引き剥がそうとしてくる。
嫌がれば嫌がるほどそれが可愛く見えて全然やめる気にならなかった。

「も〜トオルちゃんはわがままだなぁ〜」

そう呟いて耳に息を吹き掛けると「はぁ〜ん」ってイヤらしい声を出して力が抜けた。

「マサオ君早く二人を止めなさいよ!」
「無理だよぉ〜」
「意気地無し!じゃあボーちゃん二人に割り込んで!」
「無理」
「も〜おままごとにならないじゃない!!」

三人のやり取りを無視して風間くんに貼り付いたまま色んな所にちゅーとキスをしていた。
触れれば触れた分だけ顔を赤くして嫌がる風間くんの反応が楽しかったのだ。




「…け……のすけ、起きろよ風邪ひくぞ」
「ん…かざまくん?」

重たい瞼を持ち上げて目を開けるとくすくすと笑うトオルの顔があった。

「風間くんって懐かしいな、その呼び方」
「幼稚園の時の夢を見てた」
「へーどんな?」
「ネネちゃん発案のリアルおままごと。トオルが奥さんで俺が旦那様」

そう言うと「あ〜」と言いながら顔をしかめてる。

「あれは今までで一番最悪だったな」
「え〜〜〜俺はもの凄く楽しかったよ?あの時、誰も止めなかったから一杯ちゅーしたよね」
「だからだよ…あんな物をやりたいって言ってきたネネちゃんにも腹が立ったけど、一向にやめないお前に一番腹が立った」

俺が寝転がっているソファーに凭れながらそっぽを向かれて、上半身を起こすと後ろから抱きついた。

「何だよ」
「だってあの時のトオル凄く可愛かったんだもん…やめられる訳ないじゃん」
「可愛い訳ないだろ?一度眼科行けよ」

ふんと鼻を鳴らしてこっちを向いてくれない俺の大切な人は、本当に素直じゃない。
首まで真っ赤に染めてるのに……
思わずクスッと笑って可愛いと呟きながら首元にキスを落とした。

「やめろよ馬鹿」
「い〜や。おままごとしようよ」
「はぁ?」
「あの時の続き」

そう言って床にトオルを押し倒しながら馬乗りになって、俺の方を見ないトオルの顎を掴んだ。

「ね?」
「……たくっ、俺の何所が良いんだよ」
「全部。トオルだって俺を選んだくせに……」

そう言って笑いながら、への字に曲げた恋人の唇に自分の唇を落とした。



おわり

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