『な…んで?』
そう問わなくても、頭の何処かでこうなる事は解っていた。
必然的だった
だって、わたしは――
【其の理由は明白】
懐かしい夢を見ている。
その日はとても綺麗な青空で、
庭に咲いている白い藤の花が空の青にとても映えていた。
『いってらっしゃい、母様』
屋敷の門先で任務に向かう母を見送る
その花と同じ名を持つ
何の紋様も描かれてない
真っ白な隊長羽織を着た母を。
最近はよく昔の夢を見るな。
重い瞼をゆるりと開けば、其処には見覚えの無い天井があった。
「起きた?」
「灰李…」
天井から、声を掛けて来た者の方へ視線を向ける。
その先には、椅子に座って腕を組んでいる灰李の姿があった。
わたしは今、ベッドに横になっているらしい。起き上がろうとするが頭がずきりと痛んだ。灰李がまだ寝てなよ、と制する。
開いている窓から入ってくる風がわたしの頬を撫でて行く。
今はそれがとても気持ち良かった