□序章
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人類に心臓を捧げる。

お前の為だよ***。

お父さんは巨人と戦って人類の、

***の為に命をかけるんだ。




そう勇み父さんは駐屯兵団から調査兵団へ志願した。


まぁ、結果なんて言わなくても分る。


喰われて、吐きだされたんだろう。

帰ってこないのがその証拠だ。



今は***と呼んでくれた記憶しかなく。



***がどんな音だったのかも思い出せない。


思いだそうにも頭がひどく痛む。



ノイズのかかった記憶はもう使いものにもならない。





でも、まとわりつくように記憶としてへばりつく。





「***、**してるよ。***は*に***いけない。」




何を言ってるの父さん?









その日はよく晴れていた。



駐屯兵団に加わってようやく暇を暇と思わないようになれた。

訓練兵団時代に主席で卒業したんだから、憲兵団にと同期に散々言われたっけな―。

んでも、育った町が好きだったし、ここに居続ければ名前だって思い出せる気がした。


そんな理由で駐屯兵団に志願して2週間過ぎた。

順応は早いと思う。




これからも、暇をつぶすだけの生活・・・・そう信じて疑わなかった。





「嘘でしょ?何の冗談!!!!」




同期の奴が狂ったように叫ぶと、他も続いて絶叫した。



壁は50M。だから巨人どもは壁をどうすることもできない。



でも、今実際に私の眼前には巨人の顔が見える。



壁の上に座ってる私の目の前に。



『**してるよ』




不意に父さんの言葉が響いた。


そのおかげか、体の緊張が解け立体起動装置に手が伸びた。



逃げなければ殺される。



本能が警鐘を鳴らすのを私は無視した。


「私達は人類に心臓を捧げた兵士だ!憶するな!戦え!」



声がどれだけ響いたか分らない。



けれど、周りにいた兵士はこの非常時に対応できるくらいの精神状況まで回復していた。



肉をそぎ落として、なだれ込んだ巨人を駆逐する。


生きるためには、人類を生かす為にはそれしかない。


目の前で同期が次々に死んだ。


先輩も、上官も喰われていく。





それでもやることは変わらない。






(あぁ、やけにノイズがひどい。誰か止めて。)



巨人の急所を的確に切り落とす。



肉に刃が喰い込む瞬間、気のせいかもしれないが、記憶のノイズが和らいだ。



たくさんの仲間が死んで、たくさんの人間が死んで


私の頭はノイズでわれそうで・・・・



憎しみをつぶすように



救いをもとめるように



巨人の肉をそぎ落とした。



今回のマリア陥落。

受けた打撃は大きいが、私個人の収穫もあった。



巨人を殺す瞬間だけ、ノイズが弱くなる。



もっと殺したら、本当の名前が解るかもしれない。












「聞いたか?
新しく入団する変わり者の話し。
シガンシナ地区駐屯兵団にいたらしいんだけど、あの惨劇を見て志願するなんて、よほどの馬鹿か勇者でしょ。それも第1**期の主席で名前がたしか…」




レノア=ダグ




ダグも、レノアも訓練兵団に入る前に神父様がくれた名前。(ダグは神父様の姓)


本当の名前じゃない。


でも、私はレノアで***も私。


ノイズがやんだら、私は名前が解るだろうか。




私の出自が解ったところで何もならないけど
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