09/28の日記

20:44
正臣と臨也
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愛されることに慣れてない臨也の話



「あ、起きた」

臨也が目を覚ますと、そこには見慣れた少年が立っていた。特に表情を作るでもなく、淡々と真顔で告げた金髪の少年。

「正臣くん、何してるの?」
「看病ですかね」

こともなげに答えると、正臣は臨也の額に冷たいタオルを置く。そのままゆっくりと頬を撫でられ、臨也は緩慢に瞬きをした。

「そ、ご苦労。時間外手当て出すよ」
「いりませんよ。別に報酬欲しさに熱出して倒れてたあんたの面倒看てるわけじゃないんで」

あっさり手を引いた正臣は臨也に背を向けベットに腰掛ける。
きしりと鳴いたベットの音を聞きながら、臨也は所在なさげに天井をぼんやりと眺めた。

「あ、もしもし、紀田です。はい、はい、お陰でちょっとは落ち着きましたよ。すみません、はい、有難うございました」
「……正臣くん、替わって」

唐突に聞こえた会話に、臨也は正臣の服を引き告げた。正臣は直ぐに「ちょっと替わりますね」と言って携帯を手渡してくれる。

『やあ臨也。気分はどうだい?』
「あまりはっきりはしてないけど、そこまで悪くないよ。手間かけたね、新羅」
『とんでもない。直接行けなくてごめんね。紀田くんにはある程度のことは伝えてるから』

友人の声に素直に返事をして正臣に携帯を返す。熱は上がりきってしまったのか、やけにふわふわとした心地だった。

「……っと、波江さんあと一時間くらいで来るそうですよ」
「波江今日休みの筈なんだけど」
「俺がメールしたら『お粥作りにいくからそれまで寝かせてて頂戴』ってきたんすよ」
「物好きだね、ほんと君たちは……」

そう臨也が力なく笑って言うと、正臣はやれやれと肩を竦めて臨也の手を握る。

「こんな時くらい素直に“有難う”とか“嬉しい”とか言ったらどうっすか?人を愛してるなんてこと言うくせに、自分に向けられる愛にはほんっと免疫ないですよね、臨也さんって」

そこで、正臣は柔らかな笑みを見せた。

「……生意気」
「何とでもどーぞ」

臨也の顔が赤いのが、熱のせいだけではないといいな、と正臣は思った。






人間関係不器用な臨也さん萌えです。
当サイトでは正臣くんと波江さんと新羅さんが臨也さんを甘やかす担当です。

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