09/13の日記

23:41
静臨
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ゆっくり紫煙を吐きながら、静雄は空を眺めている。背後ではもぞもぞと動く気配があるが、特に気にしない。

どこのビルだか分からぬとある屋上。沈み行く太陽に目を細めた。

「……」

相変わらず背後ではもぞもぞごそごそと人の気配が動いている。背中に触れたり離れたりするそれは、落ち着く場所を探している猫のようだった。

煙草を携帯灰皿に放ると、静雄は左手を後ろに回しもぞもぞしている正体を掴む。ふわふわとした感触から、恐らくコートのフードを掴んだのだろうと思いながら視線をやれば、その通りだった。

「……」

ゆっくりと瞬く赤い瞳。
何も言わず静雄を見詰める姿は常には見られない珍しいものだった。

「……」

静雄も何も言わず、掴んだ男を自分の膝に押し付け手を離した。
それでも何も言わず、黒髪の男は少し動き身を丸めた後にやっとその身を落ち着けた。

「……日が沈むぞ」

ゆっくりと、頭を撫で静雄は声を出す。

「……うん」

昔から何を考えているのか分からない男だった。
それでも、不意に何を求めているのか感じる時がある。
だから、今日はまるで誘導するように逃げる男をひたすらに追い掛けたのだ。

「……臨也」

お互いに殺してやろうと何度も何年も思ってきた。
それでも、何度も何年もお互いを求める時が不意に訪れていた。

他の誰にも埋められない、強く鮮明な存在。

平和島静雄にとっての折原臨也。
折原臨也にとっての平和島静雄。

共通の友人である闇医者から言えば、不倶戴天なんて言葉を使われる。そして、唯一無二なのだと。

「なぁ、臨也」

太陽は沈み、ひやりとした空気が肌を撫でる。空には、既に月が輝き始めていた。

「……月が綺麗だぜ」

柔らかい光は、何処かあたたかく優しい。
そんな風に、己の膝に顔を埋める男を照らせればいいのにと、静雄はそっと目を閉じた。






下の新臨の静臨バージョンっぽいの。唯一無二って素敵です。
弱った臨也さんが他の誰でもない天敵の平和島静雄にすがると萌えるよねって話。


オチは不意に思い出した、I love youの日本語訳?でしたっけ。あの話より。月が綺麗ですね、だったかな?夏目漱石?あれ?
そんな感じでうろ覚えですが(笑)

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22:59
新臨
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「……何時の間に寝てた?」
「何時の間にと言うか、珈琲に少し……ね」

目が覚め最初に見えた、にこりと笑みを浮かべる新羅に臨也は呆れ気味に溜め息をこぼすと身体を起こした。若干くらりと視界が揺らいだが、それも直ぐに収まる。珈琲に混ざっていたのは軽い作用の睡眠薬だったのだと思った。

「働き過ぎは身体に良くないよ臨也。点滴だって、ちゃんと栄養は食事で取って貰いたいから本当は私は反対なんだけれどね。うん、少し顔色はマシになったかな」

隣に座ると、臨也の頬を撫で新羅が笑みを浮かべる。

「……新羅は、何で俺に構うんだ」

寝起きの少し霞の掛かった思考回路。だから、普段聞かないようなことを臨也は勢いで聞いてみる。

「何で、そんな優しい表情をする?それは、お前の唯一愛する首なしにだけ向けるべきものだろう」

新羅は、臨也の言葉に少し目を細め、相変わらず頬を撫でる。愛おしそうな、あたたかく優しい手が臨也の心を揺さぶる。

「君が私の友人だからだよ」
「意味が分からない」
「そのままの意味さ。確かに、僕の愛の全てはセルティの為にある。でも、友愛くらいは、君に貰って欲しいんだよ臨也」

臨也は自分がろくでもない人間だと分かっている。それどころか、本当は人の皮を被った化け物なのかもしれないと。
それでも、新羅は10年もの間この化け物を友と呼んでくれる。

「貰っても……返すものがない」
「簡単さ。君が俺を友だと思ってくれればいい。人を愛している君は人類皆、恋人であり友人なのだろう?だからその中でも私を一番の友だと思ってくれれば、それでいいんだよ」

通い慣れた新羅のマンションのリビング。
それでも、穏やか過ぎる会話のせいか見知らぬ土地に迷い込んだ気分になる。

“折原臨也”と言う道を見失いそうになる。

「臨也。大丈夫。愛することも大切だけれど、愛される喜びを知ったらもっともっと幸せになれるよ。怖がらずに。ね?」

甘い甘い毒が、回る。
折原臨也を喰らおうと。

「お前の愛は相変わらず歪んでるよ新羅」

そう告げれば、新羅はやはり微笑んだ。

「だからこそ、私以上に君に相応しいものなんか存在しないんじゃないか。歪んでいるくらいが、僕らにはお似合いさ」






新←臨ってよく見るので、新→臨くさく、尚且つ新羅さんをヤンデレ?ちっくにしてみました。新羅さんは男前束縛タイプですよね。そして結構俺様だと良いです。
需要求む。

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