08/09の日記

23:25
臨正静
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愛され臨也


「シズちゃん!久し振り!来てくれたんだ!!嬉しいよ」

そう笑いかけ車椅子で現れた臨也に静雄は息を飲んだ。
元から白い肌は、更に血管が透き出る程青白くなっていた。華奢な四肢は意図も簡単に折れてしまいそうだった。

「そんな顔しないでよ。今日はかなり調子いい方なんだから」

目の前で苦笑する、少し前まで仇敵と言ってもいい程に憎み合っていた男は、ある日突然病に倒れた。大事には至らなかったが、それから臨也の生活は激変した。

「臨也さんただいま帰りました」
「お帰り正臣くん」

激しい運動所か、時には日常動作にすら身体が悲鳴を上げる。外を出歩くのは困難だった。情報屋である臨也は、そっとその生に幕を下ろす他なかった。

「久し振りっすね、静雄さん」
「手間かけさせてんな紀田」
「いいえー。てか、俺が好きでしてることですよ?気にしないで下さい」

ただの折原臨也として生きると決めた時、直ぐに正臣が傍に居ることを名乗り出た。
深く深く臨也を憎んでいた筈の正臣が、同じくらい深く深く臨也を想うと告げた。

「これ、四木さんからです」
「ありがと。綺麗だね。外はもうすっかり夏かぁ」

小振りな向日葵の花束に臨也は微笑む。

臨也の代わりに、今は正臣が情報屋として粟楠会と取引を行っている。静雄もそれを知っていた。

「最近は色んな人が此処に来るんだよ。何だかんだで波江は毎日来てくれるし、クルリとマイルは二日に一回は来る。新羅とセルティは診察だって三日に一回くるし、ドタチンたちも週に一回は必ず。帝人くんと杏里ちゃんは時間出来た時なら何時でも。正臣くんは毎日傍に居てくれる」
「…悪かったな一ヶ月も経って」
「怒ってるわけじゃないよ。でも、君を待ってたのは事実かな」

静雄には、今の臨也が羽根の折れた鳥が鳥籠に無理矢理閉じ込められているように見える。しかし、そんなことはないらしい。

「存外今の俺は穏やかに生きてるよ」

向日葵を見詰め臨也が笑う。

「それにしても本当に綺麗だね。太陽の光をいっぱい浴びて、いっぱい集めたような、キラキラした眩しさが君たちそっくりだ」

正臣は苦笑して自分の髪をくしゃりと掻いた。
無邪気な笑みをこぼす臨也こそ、向日葵のようだと静雄は思った。






唐突に仕事中に脳裏に浮かんだ、車椅子生活な臨也さんと、住み込みで身の回りを世話する正臣くんと、ちょっと戸惑い気味なシズちゃんの話(長い)

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22:31
この部屋について
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此方には小説と呼ぶには短い小話を載せていきます。

突発的なパロディだったり会話文だったりオリジナル設定だったり……。取り敢えず何でもあり。

更新頻度は小説部屋より多いかと思います。暇潰し程度に考えて下さいませ。




管理人:神 紅奈

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