作者が暴れます\(^p^)/※腐

□FF零式-king-
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(ちっ、ナインの野郎に乗せられたみてぇだ)
カッコつけやがってアイツ。
街中を走りながら呟く。
と、遠くから銃撃音と叫び声が聞こえた。
大通りに出ると、
「………フィア!!」
見慣れた朱マントが見えた。
「くそっ」
朱は三人、相手は五人だ。戦っている敵だけを狙うのは難しいのか当たっていないが、上からの狙撃手も二人いる。明らかに劣勢だと、遠くからでも窺えた。全滅していないのが最早奇跡だ。
早く射程圏内に入ろうと全速力で走る。
フィアも二人相手に戦っている。
射程圏内に入った途端、キングは狙撃手を次々に撃った。そして走りながら敵を撃つ。走りながら味方ともみ合っている敵を撃つなど、キングにも初めてのことだったが、そんなことを考えている余裕もなかった。
しかし弾は味方に当たることなく、また二人を倒す。
「キング!?……きゃぁ!!」
加勢に気づいて声をあげた瞬間に、フィアが敵に殴り飛ばされた。
「……てめぇ殺されてぇのか!!」
キングの珍しい怒号に敵も一瞬固まる。
質問の意味なく容赦なく撃ち、ぽかんとしているフィアに駆け寄った。残りは味方が片付けてくれたようで、他の軍に合流していった。
「フィア、大丈夫か」
「私は大丈夫だよ、っていうか何してんの!?普通独りで突っ込んでくる!?」
フィアも珍しく声を荒げた。
「あのね、ここに来る間に敵とかち合ったらどうするの!?確かに助かったけど、いつも人の心配するくせに自分はいいわけ!?」
噛みつくように言うフィアをキングは完全に無視した。
「ちょっとキン、グ…!?」
言葉の途中で、フィアを引き寄せてきつく抱きしめた。
「悪い」
耳元で小さく呟く。
「お前を無条件で信じられる程、俺はお前を仲間だと思ってない」
「……何、それ…仲間じゃないって」
震えた声を出したフィアをまた強く抱き締める。
「違う。ただの仲間だと思えないってことだ、」
察しろ阿呆。
低い声で呟いた。
「……分かりにくいよ」
フィアがキングの背中に手を回した。
きっとお互い、気付かないフリをしていたのかもしれない。
「キング、いつから私のこと…」
その先を濁した問いにキングは渋りながらも答えた。
「最初は本当に心配だった。けどアクヴィ奪還作戦の時、」
___死ぬのを覚悟するのと死ぬような無茶なことするのは違う!
「あー……だってあれはキングが自棄になってるから」
「自棄になってた訳じゃない」
「とにかくそう見えたの」
むくれたフィアが可愛かった。
「……フィア、」
少し身体を離して視線を合わせる。
フィアが一瞬眉根を寄せた。
「……また怪我してる」
フィアがキングの頬の傷に触れた。
その手を握って、キングはそっとフィアに口付けた。
「………キング…」
一度離れてもう一度口付けようとした時、
『任務完了クポ!帰還するクポ!』
モーグリの声で動きが止まってしまった。
「……帰るか」
「…うん」
笑ったフィアの頬に名残惜しそうにキスを落として、二人は帰還した。

「フィア、ほら行くぞ」
相変わらずぶっきらぼうな声。
でも差し出された手は、彼の最大の愛情表現だと、やっと気付いた。



「ナイン」
呼ぶ声がして、ナインは振り返った。
見慣れた銀髪が来て、嬉しそうに言う。
「見なよ、あれ」
指差した方向を見ると、むかつく金の長髪と、いつも横にいる小柄なやつ。
違ったのは、その二人の手が繋がっていたこと。
「今回はよくやったんじゃないの?ナインの割に」
「割に、は余計だっつってんだろコラァ」
面倒くさそうなその表情を見て、サイスは内心がっくりした。
(あたしはまだまだかもなぁ……)
「おい、サイス」
「………ええ!?」
珍しく名前を呼びながら突然顔を覗きこまれて、思わず仰け反ってしまった。
「きっ、急に近寄んじゃねえ!!」
「あァ!?てめぇがぼーっとしてるからじゃねえかよ、さっさと行くぞコラァ!」
そういって、____右手を荒っぽく握られた。
(なっ………!?!?)
バッとナインを見やると、
「カオ赤……」
身体中が熱くなる。
(まさか、……遠くない?)
そこからは考えただけで爆発しそうで、サイスはされるがままに歩いていた。




fin.
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