作者が暴れます\(^p^)/※腐

□FF零式-king-
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__襲撃作戦が終わって街を見渡す。
「……あっ!キング!」
朱いマントに金の長髪を見つけて駆け寄る。
「…フィア。大丈夫だったか」
超仏頂面で訊いてくるキング。
……意外と優しいんだよね。
自分の方がきっとたくさん戦ってるのに。
「私は大丈夫。……って、ちょっと!腕怪我してるよ」
「ん?」
見ると、腕の辺りに服ごとスパッと切られた跡から血が流れていた。
慌ててハンカチで止血する。
「自分が大丈夫じゃないよ」
「……こんなもん、っ……お前きつく縛りすぎだろ」
「お仕置き。心配させないで」
括ったハンカチの上から傷をポンと叩いてやる。
「……それはこっちの台詞だ」
呟きはフィアには聞こえなかったようだった。



連日、皇国軍との戦闘が続いていた。
【0組】の活躍で負けることは無かったが、連戦ともなると味方の損失も多大だった。

今日もまた作戦だ。
「おい、フィア」
呼ばれて振り返ると、少し怒った顔のキングが居た。
「作戦概要聞いたらさっさと行くぞ。ほら」
連れて行くような素振りで頭をくしゃっと撫でられる。
キングはいつもそうやってフィアの世話役みたいな立ち回りをしている。
普通にしていればむしろ真面目な方なのに、たまに抜けるところのあるフィアが、キングからすれば危なっかしくて仕方ないらしい。
「回復薬持ったか?」
「持った。もう忘れないって」
「たまに忘れるから心配なんだ」
……はいはい、ちゃんと自覚してるっての。過保護か。
心の中で毒づく。
その時、朱いマントの二人が入ってきた。
「あ。サイス、ナイン」
「よう、フィアにキング。またキングの過保護発動してんの?」
サイスがさらっとフィアの内心を言ってしまった。
「過保護じゃねえ、コイツがたまに抜けるから注意してるだけだ」
そう言うキングにナインがフン、と鼻で笑った。
「フィアに構って欲しいんじゃねぇのかよ」
「……は、構って欲しいのはお前だろ」
「んだとコラァ!」
「うるせえ、行くぞ」
ナインの横をすり抜けてさっさと行ってしまうキングをフィアは慌てて追いかけた。
「ち、あいつ鬱陶しい系だ」
ガンを飛ばしたままのナインに、サイスはため息をついた。
「はあ…、鬱陶しいのはあんたの方だと思うよ」
「あぁ!?んでだよコラァ」
「あの二人見てたら分かるだろ、ああいうのは見守るに限るんだよ」
「言ってることわかんねーぞ、ちゃんと説明しろコラァ」
「あんた生粋のバカだわ」
サイスは心底うんざりした顔で言った。


『作戦開始クポ!』
無線からモーグリの声が聞こえた。
それと同時に【0組】含む候補生達が遊撃軍として出撃していった。
「居たぞー!!」
遠くから皇国軍兵の叫びが聞こえた。
「クリスタルの加護あれ!」
味方の叫びで、激しい戦いの幕が開けた。

「ちっ、キリねぇな」
ハンドガンを操りながらキングは呟いた。
(………?)
ふと、周りに固まっていた筈の朱マントが少ないことに気づいた。
フィアの姿も見当たらなかった。
その時、
「っ!」
すぐ背後に皇国軍兵が近づいていたことに気づいた。
(ち、くそ)
こんなんで動揺するのか、俺は。
避けきれるかギリギリのところで、
「サイナラァ!」
ナインの放った衝撃波が、皇国軍兵を吹っ飛ばした。………キングもろとも。
派手に体勢を崩すことはなかったが、
「……てめぇバカでもやり方考えろ」
「誰がだコラァ。ちょっとカノジョが見えなくなっただけでうろたえる奴に言われる筋合いねぇよコラァ」
核心をつかれて、思わず口をつぐむ。
「他の奴らは救援要請があって東に行った。フィアは回復魔法使えるからそっち行ったんだろ、」
心配すんのも分かっけど、フィアのことそんなに信じらんねぇのかよ。
ナインらしくない正論に物凄くむかついたが、言い返すことが出来なかった。
確かに、いち候補生として信じられないというのは足手まといだということだ。
フィアは決して足手まといじゃない。それはフィアにとって失礼だ。
でも、
「カノジョじゃねえ。けど」
好きな女は守る主義だ。
キングは東へ走った。

「カッコつけやがって」
キングの背中を見送りながらナインが呟く。
いつの間にか、隣に立っていたサイスが言った。
「ま、あんたにしては上出来」
「にしては、は余計だコラァ」
ふ、とサイスがため息を漏らした。
小さく呟く。
「誰かさんも守る主義だ、とか言えたら良いんだけどな」
「あ?何か言ったか」
「何も言ってねぇよバカ」
「んだとコラァ!」
「バカバカバーカ」
気付けっつーの。
その呟きはサイスの心の中に封印された。


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