1 0 0 0 hit キ ネ ン

□モノクロシーン
1ページ/1ページ

古いビルの屋上

月に手が届きそうだからと手を伸ばす

「こんなところで何してんの?」


「っ神威!?」


「昔はにいちゃんなんて言ってたのに変わっちゃったね」

「変わってしまったのはお前の方ネ」


「たしかにそうかも」

月明かりに照らされたそいつの顔はニコニコと笑うだけ

私の兄


「今日は何しにきたネ。銀ちゃん達のところには行かせないアル」


「そんなに睨むなって、今日はお侍さんにようはないよ」


「じゃあ何で・・・」



「会いに来たんだよ、神楽に」



一瞬耳を疑った



「っ嘘アル!!」

「嘘じゃない」



「あんな汚い星に一人置いていってごめん」





「俺は強くなりたかったんだ。体の弱い母さんと小さい妹を守るため」





「もう一度あの日のように戻りたい」



これは夢なのかもしれない


目の前に神威がいる

それだけでも信じられない





「でももう戻れないような気がするんだ」



「なん、で・・・」



「俺の手はもう人を殺すためのものでしかないからね」






「だから神楽、強くなってよ」


駄目だ


「強くなってまた兄弟喧嘩でもしよう」


涙が溢れて止まらない


「俺がまた間違えないように、止めてくれ」


私は弱いから


「そっちのほうが俺たちらしい」


止める方法も知らないから




「俺はお前を殺したくないからね」



だから、






「じゃあね、死んじゃダメだよ」



「待ってっ!!!」



教えてよ


あなたを少しだけ許すから




隣にいて



「・・・にい、ちゃん」

そっと呟く


もう聞こえないとは分かっているけど





モノクロシーン





だから戦うあなたのために


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ