ミライノケイフ
□I サイカイシタモノ
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Nシティの地下鉄である1つの列車が暴走していた。列車は止まらず、駅で停車している列車目掛けて、今も走り続ける。
やはり彼が言っていた通りに出番が来た。僕は到着地点で遠隔操作を行い糸を列車に巻き付ける。
列車の動きは徐々に鈍くなり始め、巻き付いた糸が車輪の回転を妨害している。これも全て、計算通り。
「……………………。」
列車は無数に巻き付いた糸に動きを封じられ、数ミリ前でピタリと動かなくなった。
僕は安堵の息を漏らしながら地下鉄に続く階段を降りていく。駅には懐かしい声1つと見知らぬ声多数があった。
僕の足音に警戒して一斉にこちらを向いていることも分かっている。
「バン君、暫くだったね。」
視界に漸く彼らを捉えたと同時に名前を呼ぶと、バン君は「ジン!」と明るいトーンで僕の名を叫んだ。
他の人とは初対面だから軽く自己紹介をしておく。
バン「でもどうしてここに?」
ジン「彼が連れて来てくれたんだ。」
彼は階段を降って腕組みをしながら無愛想な顔で姿を現す。彼の名はマングースだ。
マングースを見るや否やサングラスをかけたバン君の知り合いらしき人が駆け寄り歪み合いが始まる。
彼の名はコブラというようだ。コブラとマングースだから相性が悪いのに納得してしまった。
コブラ「お前、今までどこに居たんだよ!」
マングース「見てたぜ。そこの柱の影でな。」
コブラ「見てたんなら、とっとと出て来い!」
マングース「俺はなァ、忙しいんだよ。海道ジンとあいつを連れてきたらここでの任務は終わり。子守りは、お前の仕事だろーが。」
コブラ「子守だぁ?…ってちょっと待て、海道ジン以外に誰が居るんだよ。」
マングース「あー…。まだか。おい!とっとと降りて来い。」
『は、はい!』
マングースが階段に向かって叫べば彼女が駆け足で駆け降りる。
だが慌てて駆け降りるとついついミスをしてしまうのか、
『きゃ!』
…最後の数段で見事に転倒した。