夢はでっかく、空高く!

□第二戦 ロシウス連合
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猿田「ばっかもん!遅れてくるとは何事だ!時間を守れぬ者に、戦闘での勝利はないぞ!」

朝から響く猿田の怒鳴り声。遅れてきたのは校内に詳しくない故だろう。それは隊長であるハルキにも伝えられた。
しかし同じ条件のヒカルはちゃんと来ている。この差は何なのだろうか。

猿田「では、授業を再開する。セカンドワールド内でのLBXバトルでは、敗北は2種類ある。その違いは何か。“東郷リクヤ”!」
リクヤ「はい。ブレイクオーバーとロストです。ブレイクオーバーとは、敵の攻撃によるダメージで、行動不能になることです。しかし、LBXは破壊されません。それに対してロストは、LBXが完全に破壊されてしまうことを言い、その場合、プレイヤーは戦死したものと見なされ、退学になります。」
猿田「よし!座れ!」

ロストしたLBXを見るのは、やった方もやられた方も痛々しい。だが現状がこれな為に、致し方ないことではあった。
一方、リクヤに対し、キャサリンがボソッと「あんたは絶対退学にならないわよね。すぐエスケープスタンスを使うから。」と呟く。
ーエスケープスタンスとは、戦闘中に大きなダメージを受け、ロストされそうになったLBXは、エスケープスタンスを取れるのだ。その間は無抵抗になるが、5秒耐えられれば、戦闘からの離脱が認められてロストせずに済む。
これらの基礎知識を理解した上で、ウォータイムに臨まなければならないのだ。


 ウォータイムが遊びではないことは十分に理解出来たこの日の昼休み、美都から連絡があった。無論、放課後のウォータイムについてである。
今回は5小隊全員が参加する大掛かりな作戦だった。内容としては、「ロシウス連合が建設中の長城型要塞、ギガントの壁の5つの柱の破壊と倒壊」ー一見簡単そうに見える。
しかし、

美都「先程、諜報班からの情報で、ギガントの壁の護衛に、あの“ガウンタ•イゼルファー”が配備されていることが判明したわ。」
ユノ「ガウンタ•イゼルファー!?」
キャサリン「バイオレットデビルが!?」
アラタ「バイオレットデビルって?」
サクヤ「…ガウンタ•イゼルファーに付けられた通称だよ。学園始まって以来、最強LBXとも言われている。」

ガウンタ•イゼルファーと1対1でやって生き残ったLBXは、今現在はない。そこまで強いということだ。
それを1つの小隊が引きつけ時間を稼ぐ間、他の小隊が基礎支柱を破壊し囮の援護をするのだ。立候補する小隊は…いない。そうなると各自がウォータイムまでに決めるのが原則だ。
以上がウォータイムの内容だ。美都は用件を済ませると、教材を持ってその場を後にした。


リクヤ「私達はごめんですよ。囮なんて、能力の低い奴らがすることですから。」
キャサリン「素直にビビってるって認めたら?仲間殺しのリクヤ君。仲間が戦ってるのに、すぐ自分だけエスケープスタンスで撤退、なんでアンタが小隊長なのかなー?」

毎度ながらにキャサリンのリクヤに対する言葉には、どこかトゲがあるように感じられる。相手の実力が上だと明らかに分かっている以上、倒されるだけの的になりかねないからか、誰も手を上げようとはしなかった。
「風陣カイト」がレディファーストで立候補したら?とさり気なく押し付けてみるものの、日本の女性は3歩下がって男性の後ろについて行くものだと返される。キャサリンは日本人ではないのだが、言い訳としては使えた。

「ヒマリ。」
『んー?』
「お前はどうだ?」
『無理。ってか、今回出撃命令出てないし。』
「そうか…。」

 
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