BLEACHのシリーズ物
□余計な御世話
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ただ宮内を歩いているだけだった。
呼び止められたから、仕方なく振り返った。
黒い眼帯で左目を塞いでいる男――ノイトラだ。
生憎、俺はこの男が好きではない。では嫌いか・・・。そうでもない。
好きでも嫌いでもなく普通。どうとも思わない。が、自分から関わりを持とうとも話しかけることは後に面倒事を起こしかねないのでしない。
そう通してきたはずなのだが。
「なんだ・・・?なにか様か?」
自分より上の力と地位を誇るものだが俺には関係ない。
ただ淡々と言葉を紡ぐ。
「相変わらず似てねーのな」
誰と・・・と野暮なことは訊かない。わかっているから。
「そんなことを言うためにわざわざ?・・・ふっ、ご苦労なことだ」
見下し調子で俺は嘲笑した。俺は誰にでも・・・とは言わないがだいたいがこんな状態だ。
それが気に食わないのだろう。
ノイトラはいつもの妙な刀を俺の首すれすれの所で構える。
正直動いたのがわからなかった。流石第5十刃なだけあるなと感心した。
が口には出さない。
ただ沈黙が続く。
ノイトラは一人苛ついて刃を動かし俺の首に傷を付けた。
俺は動じずに冷えた目で相手を見据える。淡々と。
ジワリと傷口から血が零れるが気にしない。
「・・・・・・チッ」
根負けしたノイトラは刀を退かせた。
そしてどこかへ行ってしまった。
テスラに八つ当たりしなければ良いなと友人の安否を心配しつつ俺も踵を返した。
しばらく歩くと兄弟を見つけた。
俺と同じ髪の色。空の青。
名を呼ぶ。
すると振り返り、渋面。
俺はというと少し口を緩め、兄弟の下へと走っていた。
「グリムジョー、皆を連れてお出掛けか?」
「おぅ」
「・・・・・・現世か?」
「・・・ああ」
兄弟が嬉しそうに笑い、「邪魔するなよ」と告げてきた。
なんだ。俺が付いていくとわかっていたのか。流石兄弟と少し嬉しかった。
「邪魔はしないが・・・いざとなったら」
そのいざは殆んどないのだが、俺はいつもそう口にする。兄弟もわかりきったことなのか「あったらな」と不敵に笑っている。
あぁ、やっぱりこっちの方が・・・・・・心地好い。