もしもこの世界で
□7.
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「あ…」
私は初めてこっちの世界の家を見た。
前いた世界の家と何も変わらない、そのままの私の家。
ただ…違うのは
お父さん、お母さんがいないこと…。
「オイ真合!?」
「え…?」
新一の声で気づく。
自分の頬を伝っている涙に…
ぽろぽろと手のひらに落ちていく。
「はは、なんでだろ…」
いつもなら明るいお母さんの声が聞こえたのに
帰るとご飯のいい匂いがして「おかえり」って聞こえたのに
「う…ふぇ…ひっ…」
もう会えないんだ
一生…
元の世界にも戻れなくて…
なんて惨め…
「真合」
新一がそっと私の頭を撫でてくれた。
あったかくて…
優しい手つき。
涙が余計に出る。
「…ごめんな…!あり、がと…」
お父さん
お母さん…
会いたいよ…