もしもこの世界で

□5.
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裸を見られた翌日。
私はなんとなく顔があわせづらくていつもより1時間も早く起きて、新一の朝ご飯をせっせと作って新一がまだ寝ている時刻に家を出た。

学校の道のりは割と覚えたし、同じ制服の子を追い掛けたらどうにでもなる。

みんなが登校するまではまだまだ時間がある。
私は暇つぶしがてらに本屋さんに寄った。
元いた世界と違う本がずらーっと並んでいる。

「うわ…新一が好きな推理小説がこんなに…」

気がつけば私は推理小説の棚に来ていた。
私はむぅ…と考え込んで一冊の本を取り出した。ずばりあてずっぽ

「あれ?この本私知ってる…?」

本のタイトルは"銀の檻を解いて"という。
私のいた世界にもこれはあった。
著者は少し違うけど、うちの学校じゃそこそこ人気だった。
私もこの本を持ってた。
妖怪たちが主人公で…あれ…?
読み込んだはずなのに…なんで内容が思い出せない。
好きだったのにこの本。

…もしかして

向こうでの記憶が薄れて行ってる…?

「そ、んなわけないよね…こっちきてから3日くらいしか経ってないのに…」

一瞬泣きそうになった。
私、このまま親友や家族の記憶を忘れちゃう
のかな
嫌だよ…。

私は涙を堪えてその本を握りしめ、レジに向かった。
読んでいたらきっと思い出せると信じて…。



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