鬼灯

□シンプルに
1ページ/2ページ




「ねえねえ魁童」

私は呑気に草の上で寝そべる魁童を見下ろしながら名前を読んだ。

「………」

しかし私の呼び掛けに魁童は反応してくれない。
寝ているのだろうか…

「おーーーい!かーいどーう!!」

両手をメガホンの形にして大きい声で叫ぶ。
魁童はそれでやっと瞼を動かした。

「…んー…」

「魁童!起きて!」

「…うっるせーな!聞こえてるっつの!」

かばっと勢い良く起き上がる魁童。
起き上がりこぼしみたいだ。
黄金に光る綺麗な髪の毛は寝癖でボサボサだった。

「なら早く起きてよー!」


「…反応が面白かったからさ」

はは、と笑う魁童。
そんな可愛く笑われると怒ることなんてできない。

「で、真合は俺に何のようなんだ?」

「べっつにー!言いたいことがあったけどもういいですー!」

本当は魁童に好き、って言いたかった。
けど…
今の状況じゃ言いにくい。
また明日出直そうかな…って思った。

「はあ?なんだよそれ。言えよ」

「やーだー」

私は魁童に背を向けて、月讀の屋敷の方に歩き出した


つもりだった。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ