鬼灯
□シンプルに
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「ねえねえ魁童」
私は呑気に草の上で寝そべる魁童を見下ろしながら名前を読んだ。
「………」
しかし私の呼び掛けに魁童は反応してくれない。
寝ているのだろうか…
「おーーーい!かーいどーう!!」
両手をメガホンの形にして大きい声で叫ぶ。
魁童はそれでやっと瞼を動かした。
「…んー…」
「魁童!起きて!」
「…うっるせーな!聞こえてるっつの!」
かばっと勢い良く起き上がる魁童。
起き上がりこぼしみたいだ。
黄金に光る綺麗な髪の毛は寝癖でボサボサだった。
「なら早く起きてよー!」
「…反応が面白かったからさ」
はは、と笑う魁童。
そんな可愛く笑われると怒ることなんてできない。
「で、真合は俺に何のようなんだ?」
「べっつにー!言いたいことがあったけどもういいですー!」
本当は魁童に好き、って言いたかった。
けど…
今の状況じゃ言いにくい。
また明日出直そうかな…って思った。
「はあ?なんだよそれ。言えよ」
「やーだー」
私は魁童に背を向けて、月讀の屋敷の方に歩き出した
つもりだった。