玩具の奴隷

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船に乗って数日、白ひげ海賊団率いるモビーディック号は相変わらず海のど真ん中にいた。
エイミーが2番隊に入ってからは今まで以上に船内が騒がしくなったと皆が口を揃えて言う。
2番隊隊長は事あるごとにエイミーを連れ回し良い事も悪い事も教えた。
例えばサッチは上手くおだてたらその日の献立は牛耳ったも同然だとかイゾウのヘアーセット中に無理やり部屋に入ると回し蹴りを喰らうからやってみろ、だとか。
もちろん決闘だ!と各隊長らの部屋を駆け回るのも日常茶飯事、それに巻き込まれる隊員達もやれやれといった様子だ。
マルコやイゾウ達からのお説教もまた日常化しているというのにエースのはしゃぎっぷりはなかなか止まらない。
それほどにエースは嬉しかったのだ。
初めてできた自分より下の家族、しかもそれが自分の隊に入ったというのだから嬉しいに決まっている。
それをわかっていたからこそマルコ達もあまりきつくは言わなかった。
…と、これは先程までの話。



ガンッ

「いってぇぇえええ‼‼」

「ほんとのほんとにいい加減にしろよい」


その拳はガチだった。


「エース、少し大目に見てやったがもう限界だ。いい加減エイミーを解放してやれ」


そう息を吐きながら言うとエースは勿論反発する。
何でも最初に戦った時に負けたのが悔しかったらしい。(どうでもいいがエースはあれを負けたと自己解決していたらしい)
それから"決闘"を重ねるも、エイミーは避けることしかせず防戦一方。
エースの性格上、半端では終われない。
そんなこんなで勝負はつくはずはなく、毎回エイミーにまとわりついていたらしい。



「全くくだらねぇよい。エイミーは敵じゃねぇしおめぇの隊だ。これ以上やんならエイミーの所属する隊自体変えちまうよい」


マルコがそう言うと、エースはしぶしぶ了承する。
続けてエイミーはどこだ、と問うと甲板の方を指差して明後日の方向を向くエース。

…おそらくらまた"決闘"するつもりだったのであろう、マルコは目の前の人物をもう一度ポカリと殴ってその場をあとした。





「エイミーちゃん!今からオレら洗濯しに行くけど良かったら一緒に洗おうか?」

「いえ、自分の分は自分でやるので…ありがとうございます」

「今日もエース隊長と一戦やるんかい?怪我すんじゃねぇぞー!」

「っていうかそろそろ隊長に一発かましたれー!」


わはは、と2番隊の人達が豪快に笑う。
それにつられてエイミーが笑うことも増えていた。


「…エイミー」

「!隊長」

どうしたんですか、と問うと目の前の人物はピクリと眉間に皺を寄せる。
…何か失言しただろうかとオロオロしていると、今度はため息をついて自信の腕をぐいっと引っ張る。



「?」

「しばらくエースとの決闘は禁止だよい」

「は、い…あの、隊長、」

どこへ、と聞こうとするとまた気に障ったのがぐっと腕に力が入るのがわかる。
それと同時に足を止めたマルコはこちらを向きいつものように頭をがしがし掻き始める。


「…エイミー、あのなぁ」


マルコがそう言いかけた時、見張り台の隊員が大きな声を上げる。
一瞬のことで聞こえず、2人はもう一度目で捉えながらその人物の言葉を聞く。


「敵襲だーーー‼‼」


目の前の人物はやれやれともう一度頭を掻いた。


 
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