玩具の奴隷

□◉03
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騒がしい宴も終幕。
みんな雑魚寝のように寝てしまった。
こんなに人数がいるとなかなかすごい絵図だ。

サッチさんとエースさんが殴り合うような形で寝ていて、思わずふふっと笑みが溢れる。


「少し風にでも当たるかい?」

「!マルコさん…そうですね」


少し飲みすぎましたね、と2人は甲板へ出る。
波の音と潮の匂いが気持ち良く、火照った頬がくすぐったくなる。
これから私は海賊になるのか…と思うと、なぜだか可笑しくなった。


「エイミー、おめぇを刺した住人なんだけどよ…」

ほんとはもっと懲らしめてやりたいが…と続けるところを、エイミーは悟っていたのか首を横に振って「もういいんです」と答えた。
親父が認めたからにはエイミーはもう家族。
仕返したい気持ちはもちろんマルコにもあったが、ここの島はこの海賊団にとって特別。
気持ちがあってもマルコにはとても出来なかった。
すまねぇな、と告げると彼女は笑った。



「明日モビーはここを発つよい」

「明日…」

「またしばらくここには帰って来れねぇと思うが…大丈夫か?」

「…はい。もうここには…何もありませんから」


淋しげにそう言ったエイミー。
何もないこたぁないだろ?と言うとその人物は首を横に振った。



「実は私…街を海賊に襲われたあと、別のところにしばらくいて」

「別のところ?」

「はい…今は言えませんが。それでももう一度ここに帰ってきたのは、お母さんとの約束を守る為だったから…」

「(お母さん…?)」

「ここにくればニューゲートさんがいつか来てくれると思って…もう約束を達成したのでここには何も…ありません、…手紙、渡せて…良かった…」


そういうとふらっと浮いた体をマルコは優しく抱きとめた。
慣れない酒でやられたのだろう、気付くと目の前の人物はすーすー寝息を立てていた。
それよりも気になったのはエイミーが最後に呟いていた言葉。
彼女はお母さんと言った。
流れ的に考えると、自分はローラの娘で手紙を託された、としか取りようがない。
しかし親父が何も言わなかった=おそらく手紙にもそんなことはかかれていなかったのだろう。
かといって、よく考えればローラとエイミーの関係性すら描かれていないのだ。
ローラの実の娘と課程してもおかしくはないが…


「(もしオレの推理が正しかったとして…それだと一つ重要なことがある)」


父親の候補に、親父が入るのではないか、と。
正直、船旅中のローラの様子などはわからない。
が、オレが知っている限りでは、親父が心からあの人を愛していたように、あの人もまた親父だけを愛していた。

それはつまり…


「……」

はぁ、と一つ息を吐く。


「オレも久々に酒がまわったかねい。考えてたら頭が痛くなってきたよい」

「ん…」


さらりと、目の前の人物の髪をなぞる。
月夜が照らす彼女は、男なら誰でも見惚れるに十分な程とても綺麗で。
腕の中で眠る小さな体を、マルコはぎゅっと抱きしめた。



 
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